生活者主権の会生活者通信2006年07月号/07頁

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領土は「死守」すべきものである

千葉県柏市 峯木 貴

 日本固有の領土でありながらその領有権を放棄してしまえ、というような風潮がある。

 例えば朝日新聞のコラム(竹島と独島 これを「友情島」に…の夢想(2005/03/27 asahi.com))では、
これは夢想であると前置きをしつつも竹島をあきらめてしまえといっている。理由は国同士の摩擦が厄
介で、解決の見込みがないからというものである。なんとも情けない話である。(ちなみにこのコラム
では、対馬についても触れており、韓国の自治体には対馬の日を定めようとしているところもあるそう
だ。もしコラムの筆者のように竹島を譲渡したら、次は対馬まで取られかねないと思う。)

 古今東西自国の領土を無償で明け渡すことなどはなかった。むしろ領土は死守すべきものである。領
土問題とはそれを守るために多数の死者が出るぐらい最重要問題であるからだ。

 仮に無償で領土を明け渡すことがあるとすれば、かつて戦争によって奪い取った領土を、後年敗戦に
より明け渡すことぐらいである。それもその戦争の終わり方は玉砕に近いような国の破滅に近い場合で
あろう。

 そのような重要なものをいとも簡単にあきらめることはできないはずだ。仮に文書ひとつであきらめ
るとしたら、その判断は最終的に総理大臣がすることになる。しかし、領土を簡単に手放す人を国のリ
ーダーとして認めることができるだろうか。

 ただし、この領土問題はなにも相手側だけの問題ではない。日本側にも問題がある。日本人は領土の
認識が一般的に薄いのである。おそらく日本の固有領土がどこまであるのか言い当てる人は少ないであ
ろう。周辺国はその弱みに付け込み日本に対し領土問題を揚げる。これは戦後の教育に問題がある。近
代史をほとんど教えないのである。

 領土意識が薄いため、日本国の領土がなくても生きていけると思っている人もいる。戦後確かに経済
は発展したのだが、それと裏腹に領土意識は薄くなってきた。おかげで何でもお金で解決しようとする
風潮が強くなってきた。また、地球人とか国際人とかを称する人たちもいる。それも近代史を教えない
という戦後教育の影響が少なからずある。彼らはまるで日本国がなくても生きていられるような口ぶり
である。祖国は地球だと豪語し、世界の観点、地球の観点からものを言う。そのような人たちは一度良
く考えたほうが良い。今どこに住んでいるのか。何語を話しているのか。どの国の通貨を使っているの
か。これは先人が死守してきたものではなかったのか。

 日本は戦後裕福な大国になったのだから、ほんの少しの土地ぐらい譲歩するぐらいの度量が必要だと
いう人もいる。経済の世界ではそうかもしれない。しかし、領土問題は簡単に譲歩することはできない。
これは何も日本だけのことではなく、世界各国どこでも「死守」している。

生活者主権の会生活者通信2006年07月号/07頁