生活者主権の会生活者通信2005年12月号/01頁

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生活者通信【12月号】

第124号・2005年12月01日発行   ホームページ・アドレス http://www.seikatsusha.org/
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<特集:2005年総選挙>

自民党は変わったのか?

生活者主権の会代表 小俣一郎

『改革を止めるな』                              
 自民党を大勝利に導いた合言葉である。                              
 確かに響きの良い言葉である。当会の会合等で聞いてみても、自民・民主両党の選挙スローガンに対する
軍配は、ほぼ100%自民党に上がっていた。                           
 今回の総選挙では、自民党は徹底してこの言葉を活用した。公示前からこの言葉が入った小泉首相のポス
ターがいたるところに貼られ、選挙中もこの言葉が常に連呼された。あたかも自民党が改革党であることを
鼓舞するかのように・・・。                                   
 しかし自民党は政権与党である。これまでの戦後日本の舵を取り、その制度を作ってきたのは紛れもなく
自民党であり、小泉さんも閣僚としてそこに参画してきたわけである。絶えず体制側にいた小泉さんが声高
に改革を訴える姿には、本質的には違和感がある。また、自民党は改革の象徴として坂本龍馬まで駆り出し
たが、自民党は徳川幕府の方である。                               
 ところが小泉さんは「郵政民営化」という『錦旗』を掲げ、党内の反対派を守旧派として「古い自民党」
のレッテルを貼り付けて追い出し、自らを「新しい自民党」としてしまった。と同時に、「小泉郵政民営化
案」に反対したことを理由に、本来、薩摩・長州の立場にある民主党までも改革を止める守旧派の範疇に押
し込めてしまった。結果、今回の選挙では改革という言葉は自民党の看板となり、国民は「小泉改革」の継
続を選択することになった。実に巧みであった。                          
 「小泉改革」といっても、当会のように『平成維新の会』の頃から、もう10年以上も前から、地域主権
や道州制の実現等を求めて運動をしてきていると、どうしても?マークを付けざるを得ない。改革というの
であればやはり70点、80点を求めてしまう。だから道路公団改革にも疑問符が付いてしまう。しかし、
「それは小泉内閣だからできた」と言われれば、確かにそうであろう。また、たとえ一歩や二歩であっても
前進は前進である。それは嘘ではない。郵政民営化もまたしかりで、小泉内閣でなければ議題にもならなか
ったかもしれない。それは認めなければならないだろう。                      
 「改革を止めるな」                                      
 これは国民の声である。国民はこれまでの「小泉改革」に一定の評価を与え、また小泉さんの類まれなる
決断力・行動力に期待をし、より力を与えて改革をやらせた方が手っとり早いと考えたのであろう。   
                                                
『与党・3分の2以上の重み』                    
 小泉さんは大勝利の後、改革の方向へ大きくアクセルを踏み出した。                
 議員年金廃止、道路特定財源の一般財源化、さらには、「その程度の約束は守れなくても大したことでは
ない」との発言で物議をかもした新規国債30兆円。我々の評価でこれまで赤点続きだった「小泉改革」が
突如大変身を遂げようとしている。が、これには、連立与党で衆議院の3分の2を超える議席を与えられた
ことが図らずも影響していると思われる。                             
 今回の選挙は、小選挙区制度の特徴が大きく現れた選挙である。民主党の獲得票自体は前回の選挙とほと
んど変わらないが、投票率が上がった分だけ自民党票が伸びた。それは小泉改革に対する期待票である。も
しその期待に反したら、それらは自民党から逃げ、次の総選挙での政権交代は必死となる。大胆なアクセル
の原動力は「3分の2の重み」と言えるのではなだろうか。                     
 現在の異常な額の国及び地方の借金。団塊世代の定年期をひかえ、その対応はもはや待ったなしである。
これまでのような政権運営は自民党でももはやできない。ならば、今回を好機としてこれまでの諸問題を片
付けようということかもしれない。「改革を止めるな」と刀を大上段に振りかざし、また「新しい自民党」
と喧伝した以上、もはや戻れないわけでもある。                          
 ともあれ、改革が進むことは良いことである。小泉改革が実効性のあるものであれば、それを否定する理
由はない。打ち出した改革が来年度予算案にどのように反映されるのか。じっくりと観察していきたい。 
                                                
『自民党をぶっ壊す』                             
 現在の衆議院は自民党議席の反対側の右翼席に、綿貫氏、堀内氏、亀井氏の3氏が並ぶ。それぞれ自民党
の派閥の長を務めた方々である。まさに隔世の感がある。                      
 私は今年の8月号に「通過点としての政権交代」という文を書き、その中で「小泉さんといえども、自民
党を解党的方向に導くことはできないのであろう」と論じたが、この見方が甘かったことは率直に認めなけ
ればならない。まさか小泉さんがここまで徹底的にやるとは思わなかった。              
 造反した議員たちもここまでやるとは思っていなかっただろう。小泉首相自身がかつて党規違反を犯し、
そのときには不問に付されている。そのような懐の深さが自民党の特色の一つでもあった。       
 これまでの派閥を超えた閣僚人事のみでなく、今回は「総務会は全会一致」という非常に日本的な慣習に
も終止符を打ち、また造反者は公認ぜず、離党を迫り、さらには刺客まで放った。小泉さんの自民党改革は
ついに一線を越えたわけである。                                 
 ただその強権に、自民党員が皆納得してひれ伏しているとは思えない。現に地方には中央からの一方的な
圧力に対する反発も見える。小泉色が増したとはいえ、まだまだ自民党は多様である。それを一色で強引に
染めようとすればそのひずみがでることも十分考えられる。また、民主党のお株を奪って「増税の前にまず
無駄をなくす」ということが盛んに叫ばれているが、その無駄をこれまで許してきたのが与党自民党であり、
それにメスを入れるということは、これまでの失政を明らかにすることにつながるわけで、それが党内抗争
の新たな火種となる可能性もある。                                
 小泉さんという大きな重しが外れる来年9月以降、果たして自民党はどのような姿になるのであろうか。
 自民党が本当に改革党になったのか。その判断はもう少し先に延ばした方が無難であろう。

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