生活者主権の会生活者通信2004年12月号/08頁..........作成:2004年11月28日/杉原健児

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<新ライフスタイル特集>
結核闘病記(1)

T.H(64歳・男)…文責:峯木 貴

 この手記は、生活者主権の会の会員である T.H
さんのメモを私(峯木)が清書したものです。  
           ☆
 病気といえばたまに風邪をひくくらいで、健康に
はいつも関心を持ち自信もあった私が、今般図らず
も結核に感染・発病し4ヶ月弱の入院生活を余儀な
くされたので、その顛末をここに手記としてまとめ
ました。                   
○H16.6.9(水)                 
  朝食後コップ1杯くらいの喀血(かっけつ)が
 あったので、喫驚(きっきょう)し近くの診療所
 へ行った。レントゲン撮影の結果、肺に影がある
 ため、柏市内の総合病院を紹介された。    
  午後、総合病院で胸部CTスキャン検査、喀痰検
 査、血液検査を受け、検査結果が出るまでは外出
 禁止といわれた。「結核」と認定されれば法定伝
 染病なので即刻入院する必要があるためとのこと
 だった。夜、病院より電話があり、喀痰検査は顕
 微鏡段階では結核菌はなく、次に PCR(遺伝子レ
 ベルでの検査)があり、結果は早くて4日後くら
 いに出る。それまでは外出OKとのことだった。 
○H16.6.12(土)                
  病院より電話あり。 PCRの結果、結核菌が出た。
 即入院となるが週末なので月曜に再度電話をくれ
 るとのことだった。             
○H16.6.14(月)                
  病院より電話あり。佐倉厚生園(千葉県佐倉市)
 なら入院できる(ちなみに千葉県内で結核病棟の
 ある病院は、他に千葉市内、市川市内にある)と
 のことだった。               
  もしこれに応じず、自宅で療養したいと思って
 も、結核予防法第35条により都道府県知事は入院
 を命ずることができる。(命令入所)     
  この場合、医療費の一切が世帯収入に応じて減
 免又は免除される。(合併症やその検査の費用も
 含む)、自己負担(部屋代及びパジャマ代<一日
 100円>)以外は公費負担といわれた。     
○H16.6.15(火)                
  財団法人 日産厚生会・佐倉厚生園着。   
  二人部屋(部屋代 一日2100円)に入室。2〜3
 ヶ月後、菌が少なくなった段階で3〜6人部屋(部
 屋代無料)に移ることができる。3〜4ヶ月の入院
 生活となるという。最近は良い薬ができたので、
 結核は完全に治る。「栄養」と「心の安定」が結
 核治療には大切。「イライラ」は禁物といわれた。
  結核病床だけで47のベッドがあり、二重ガラス
 で隔離されている。内部では必ずマスクをしなけ
 ればならない。               
○H16.6.16(水)                
 入院生活が始まった。            
  起床   AM6:00             
  朝食   AM8:00             
  安静時間 AM9:00〜11:00          
  抗結核薬 AM10:00             
  昼食   AM12:00             
  安静時間 PM13:00〜15:00         
  検温   PM13:30             
  夕食   PM18:00             
  消灯   PM21:00             
 この日はAM10:20〜11:50に止血剤の点滴あり。 
 (喀血防止、毛細血管補修・強化のため)   
○H16.6.18(金)                
 抗結核薬服用開始              
 ・ピラマイド(Z)               
 ・リファジン(R)               
 ・イスコチン(H)               
  スプレプトマイシンを尻へ注射。      
  朝・昼・夕食後・ムコソルバン(痰切り)   
         ・アドナ(止血剤)     
         ・セルベックス(胃薬)   
         ・メジコン(咳止め)    
○H16.6.22(火)                
  腕の点滴跡に湿疹ができ、痒いので「イスコチ
 ン」、「スプレプトマイシン」中止。     
 聴力テスト異常なし。(抗結核薬を服用したため
 難聴になる人がいるため)          
 塗沫検査 6/15→ガフキー8号(10号が最高、菌 
 が最も多い)                
      6/16→ガフキー1号         
      6/17→ガフキー0          
                       
A.結核の現状             
  最近、日本全体で結核で亡くなる人は一年間で、
 2,300人くらい。新しく結核患者として登録され 
 る人は年間33,000人(平成14年度)である。  
  しかし、30数年前には毎年10万人以上の人が結
 核で死亡し、新しい患者は年間60万人も発生して
 いた。それが最近になって劇的に減少したため、
 なんとなく結核は片付いたという誤った考えを持
 っている人が多いが、結核は未だ決して油断でき
 ない病気であり、我が国の最大の伝染病である。
B.感染                
  痰の中に結核菌を出している患者が、咳やくし
 ゃみをすると飛沫が飛び散る。結核菌はこの飛沫
 に混じって空気中に飛び散る。これを他人が吸い
 込むことにより感染する。しかし、一度地面など
 に落ちた菌は感染力はない。         
C.発病                
  結核に感染しても病気になる人は10人に1人か2
 人という程度で、大部分の人は発病しないですむ。
  発病の仕方には2つの方がある。感染してから 
 早い時期にどんどん病気が進行する初感染発病と、
 感染してから長期間を経て発病する既感染発病が
 ある。初感染発病は強く感染したときや、感染し
 た人の抵抗力が弱いときに見られ、主として子供
 や青年に起こる。既感染発病は、慢性感染症であ
 る結核の特徴といってもよい発病形式である。初
 感染後病巣は直ったように見えても、菌はその中
 で顆粒状に姿を変えて、息をひそめて生き延びて
 おり、体の抵抗力が低下すると再び暴れだしてく
 る。感染してから10数年後、時には数10年後にも
 発病することもあるのが結核の特徴である。最近、
 老人で発病する人が多いといわれているが、これ
 らの人々のほとんどが若いときに感染しており、
 最近になって発病したものといわれている。  
                (次号に続く)

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