生活者主権の会生活者通信2004年11月号/10頁..........作成:2004年11月07日/杉原健児

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<道州制特集続き>
道州制の区割り原則に関する提言

道州制推進連盟会員(新潟県) 塚田弘樹 (htsukada@medws1.med.niigata-u.ac.jp)

 道州制導入は、一極集中の是正と地方活性化とい
う大命題のもと、総論賛成者は多いと思います。し
かし、各論を進める上で最も紛糾しそうな区割りに
ついて、道州制推進連盟の提案も出てはいますが、
私なりの考え方をここに提言したいと思います。 
 北陸州、四国州など細分化した州を認めるかどう
かについて、まず議論があろうかと考えます。その
対極論に、大東京の国際的競争力の低下を恐れてか、
おおざっぱに北日本・関東・関西・西日本の4州で
いい、という意見もあります。しかし、後者の論は
地方の元気を取り戻すという大命題の達成にはそぐ
わない案であり、逆に国への依存を断ち切り、小さ
くてもキラリと光る(どこかで聞いたフレーズです
が)自立した州をめざすならば、北陸州・四国州な
どいわゆる小州の設置も「乱立」という批判には当
たらないと考えます。そういった意味で連盟の13区
域分割の区割り案は、東京・大阪を特別区域として
別個に考え、上記州も認めていくという立派な案だ
とは思います。                
 ただ、南関東州や関西州は、小国家を凌駕する規
模で、生活者主体の視点に立った州庁業務・州内を
特徴づける独特な法制整備など日本を元気にする方
策を立てる単位としては、まだまだ大きすぎる人口
単位だと考えます。関東甲信越・静地域には、それ
ぞれ自立の機運と行政のノウハウを十分保持する、
また東京を見据えつつ対等に競争してインフラを整
備しようという気概のある政令指定都市が3つもあ
ります(千葉・横浜・さいたま)。これを中核とし
た州単位があれば、東京特別区を取り囲みつつ、良
い意味で競争して、過密東京の受け皿・展都に貢献
する、また独自の税制などを工夫し、都心に通わず
とも職住近接の雇用を創設できる活気を生み出せる
のではないでしょうか?            
 全て東京依存、住んでいるだけ、という概念は捨
てて、それぞれ神奈川州(東静岡を含んでも良い)
甲武州(八王子中心に山梨まで)、さいたま州(甲
武と一体でも可?)常総州(千葉・茨城)くらいに
分割するという案です。団塊の世代が職場を離れ、
郊外に24時間いる近い将来、昼間若者が周囲に全 
くいない状況を考えてみて下さい。多極分散は人口
集中地域でこそ必要と考えるのです。関西も同様、
大胆に、大阪特別区を囲む、兵庫単独州・京滋州・
堺州都の南関西州の3つくらいを作ることを提言し
ます。これらは、人口・インフラ・集積性どれをと
ってもそれぞれで小国を作れるくらいの税収やGNP 
を持っています。その他の地域が、面積的には州よ
り大きい“道”としてまとまらざるを得ないと思い
ます。                    
 その際、区割りでもめそうな地域のひとつに北信
越州があります。そもそも北陸という区域は、京都
が中心であった場合の街道筋でできあがった細長い
地域を指します。東海道における名古屋と東京、中
山道における木曽と前橋を一緒の区分にするのと同
じ概念です。現在の、東京絶対的有意の時代に対応
・対抗していくにはあまりにもまとまりにくい地域
だと思います。福井・石川・富山の3県は現在もほ
ぼ一体化しており、日本の奥座敷的な魅力あふれる
地域です。ただ、新潟・福井はあまりにも遠い。東
京を中心とする東日本の枠組みを考えた場合、新潟
県・長野県は北関東地域との連合を考えた方が現実
的と愚考します。すなわち新潟・長野を含む「東山
道構想」です。                
 古代は江戸は田舎町に過ぎず、江戸時代に中山道
と呼ばれた以前から、東北への山側の道、東山道が
古くから整備されていました。むろん現代は、群馬
・栃木は関東帰属意識が強く、東京県民も沢山居住
しているのも事実です。ただ、越後は三国連山に阻
まれ山の向こう、と認識された昔ならいざ知らず、
新幹線・高速道の2大動脈が貫いている現在、新潟
・群馬との距離感は急速に縮んでおり、北関東自動
車道や磐越道・上信越道と合わせると広大な円連携
が可能になります。信越は信濃川の上流・下流とい
う観点からも密接なパートナーであることは明らか
です。この地域の海の玄関を新潟にしてしまう構想
です。この地域は、今も日本ロマンチック街道とし
て連携を深めつつあり、その脇道としての湯沢・妻
有・尾瀬・軽井沢なども重要な観光地としての実力
を有しております。アジア・西欧へ発信できる観光
立州が可能になるのです。関東圏・関西圏からのリ
ゾートとしての需要は、遠い北海道・沖縄にはない
気軽な癒しの場として大きいものがあります。日本
海の夕日・佐渡を加えれば、世界にアピールできる
観光資源の宝庫とも言えるでしょう。(佐渡金山の
イメージから佐渡にカジノを誘致する、構想は言い
過ぎでしょうか?)各県の客誘致競争の発想から、
観光コースとしての連携の道を探ることこそ東山道
の大きな売りと言えます。ロマンチック街道の終点
として会津地方は魅力あるロケーションです。北ア
ルプスから志賀、三国、尾瀬、日光、那須、会津へ
と魅惑の線が繋がることになります。会津は東山道
の終点でもいいかもしれません。        
 以上、東山道構想を例にあげましたが、中央は州
として細分化、周囲は道として独自性を探る、北陸
州・四国州・琉球州など小さくても独自の文化圏は、
国が若干の補助をしてでも守っていく、という原則
でいけば、各政令指定都市を活かしつつ、良い意味
での地域間競争から日本全体の底上げに繋がるので
はないでしょうか?              

生活者主権の会生活者通信2004年11月号/10頁