絶妙な有権者の審判が下された。まさに「神の手」
と言ってもいい。
自民49、民主50。たった1議席の差だが、こ
れが逆だったら、随分印象が違う。今後の政局も、
異なる様相となったはずだ。
やはり、「緊張感のない慢心の政治」へ、国民が
きついお灸をすえたということだろう。年金法案強
行採決前には、楽々クリアーできると思われていた
「51議席」すら割り込んだのだから。
ただ、あの橋本政権を崩壊に追い込んだ「44議
席」というラインまでは行かなかった。「そこまで
すれば小泉退陣かも」と懸念した人が多かったとい
うことか。何しろ、自民党内で「ポスト小泉に人は
なし」、かといって今回の参院選は、どんなことが
あろうが、民主党へ政権交代する選挙ではない、だ
ったら、「他の人より小泉さんの方がまだましだ」
というバネが働いたのか。その辺のバランス感覚が、
一週間前の「小泉自民党危うし」という選挙情勢報
でステップ。次の総選挙に向けて、いよいよジャン
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プ、政権穫りが現実のものとなってくる。九月の民
主党代表選も岡田氏で確定。早期の衆院解散に追い
込むため、与党への攻勢を強めていくはずだ。
小泉首相は、選挙前に私がこのコラムで予想した
とおり、続投することを決めた。しかし、大変厳し
い政権運営を余儀なくされるだろう。早速、持論の
「郵政民営化」の結論を秋には出さなくてはならな
い。抵抗勢力の本気度は、道路公団の比ではないし、
国民基盤が弱体化した小泉首相の足元を、彼らはい
いように見てくる。ポスト小泉と称される面々も、
いよいよ政略を仕掛けてくるだろう。
ただ、ここで、道路公団のように日和見すれば万
事休す。やはり、小泉首相も「政権は長きをもって
尊しとなす」だったのかと、支持率も急落。森政権
末期のようなレームダック状態になること必定だ。
その場合、政権崩壊は時間の問題となる。私は前々
から「天王山は参院選後の秋」と言ってきた。その
通りとなりそうな雲行きである。
(発言の広場メールマガジンNO.164号より転載)
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