生活者主権の会生活者通信2004年06月号/04頁..........作成:2004年05月30日/杉原健児

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菅代表辞任に関する最近の新聞見出しに見る不思議
ー新聞は事実のみを書くべきだと思うー

千葉県柏市 峯木 貴(mineki@taurus.bekkoame.ne.jp)

 以下は、全文を民主党へ、4百字に要約したもの
を各社の投稿欄に投稿したものです。      
各社一面の見出しより             
  朝日新聞                 
   5月9日  民主・菅氏続投窮地に      
   5月10日 菅代表きょう辞任        
  読売新聞                 
   5月9日  菅代表辞任へ          
   5月10日 菅代表きょう辞任表明      
  毎日新聞                 
   5月9日  「ポスト菅」鳴動(2面)     
   5月10日 「後任・小沢氏」支持広がる   
  産経新聞                 
   5月9日  菅代表あす辞任へ        
   5月10日 菅代表辞意伝える        
  東京新聞                 
   5月9日  菅氏辞任明日にも決断      
   5月10日 菅代表きょう辞任        
 朝の忙しい時間帯。新聞の一面の見出しを見て、
その日の重要な記事を頭に入れる。新聞社もできる
限り簡潔に分かりやすくなるよう、一面の見出しに
は苦慮しているに違いない。一面の見出しは新聞の
顔であり、新聞の精神である。その新聞の伝えたい
意思が短い言葉にこめられている。また、一方では、
この言葉の組み合わせ如何で社会に大きな影響を与
えることもある。               
 上記は各社の見出しを集めたものである。それも
5月9日、10日の民主党・菅代表辞任問題のどたば
たの最中のもの。これらの新聞の一面の見出しを見
ると、誰しも菅代表は党代表を辞任するんだと思っ
てしまう。                  
 なにげなくテレビをつけてみた。そこには菅代表
が生出演していた。そして、なんと!!辞意の意思
は「ない」とはっきり述べている。(5月9日現在
もう一度新聞を見てみる。見出しには大きく「辞任」
と書かれている。一瞬頭がおかしくなったと思った。
そして今度は新聞記事の内容を読んでみる。やはり、
辞意を固めていると書いてある。では、テレビに出
ている人は誰なのだろうか?管代表ではないのか。
 彼はその後も各局に満遍なく出演し、はっきりと
「やめない」といっている。また一連の事態に対す
る結論は10日の夜に出すともいっている。では、新
聞の記事はいったい...(ただし、毎日新聞の見出し
は中立的であるため、批判の対象としない。)   
 最近の菅代表の年金問題に関する発言(特に自分 
のことを棚にあげ、行政の不作為にした発言)など 
の事実を踏まえて、テレビや新聞の記事を読むと流
れは良く分かる。辞任は仕方ないと。      
 しかし、今回の新聞報道はそれを一歩踏み込んで
「辞任」を決定的なものとして記事にしてしまった
のだ。                    
 ただし、この「辞任」確定というのは、一面の見
出しに限ってといったほうが適切である。記事の内
容を十分時間をかけて読むと、幹部の話とかある筋
からの情報とかで、本人が語っているとは一言も書
いていない。しかし、先にいったとおり、見出しは
新聞の読み手がその情勢を判断する最大のものであ
り、新聞社もそのような責任の上で書いているはず
なのである。その後に小さな文字で、言い訳を書か
れてもすでに頭の中には「辞任確定」が刷り込まれ
てしまっているのだ。よほど注意深く読まなければ
事実関係を読み取ることができない記事は、それ自
体問題がある。                
 毎日新聞以外の大手新聞社がこぞって同じような
スタンスに立った見出しを発表してしまった。他方、
テレビ各局は「辞任」を断定的なものとして扱って
いないものの、今回の一連の報道が適切だとは思え
ない。菅代表の口から少しでも早く「辞任」の言葉
を引き出そうと必死だったからである。     
 ところで国民の皆さんはこの一連の報道劇を見て
どう思っているのであろうか。菅代表の辞任は当た
り前だ、という流れに乗ってしまったため、この一
連の報道の危険性を感じなかったのかもしれない。
もしこれらの報道が、管代表を辞任に追い込むため
に、新聞社、テレビ局が恣意的に行った行動だとし
たらどうだろうか。              
 かつてこのような風潮が日本に充満していた時期
がある。新聞はこぞって日本軍を褒めたたえ、国民
を煽って戦争やむなしという空気を作っていった。
そして、あの悲惨な戦争が起こってしまったのだが、
今回もそれに類似するものである。世論を誘導した
ことは確かである。もし、この一連の報道のありか
たに国民が疑問を持たないようであれば、すでに報
道統制の下地が出来上がっているともいえる。  

生活者主権の会生活者通信2004年06月号/04頁