生活者主権の会生活者通信2004年03月号/03頁..........作成:2004年03月14日/杉原健児

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これが自衛隊派遣の手続きか!

前衆議院議員・桐蔭横浜大学法学部教授 江田憲司

 イラクへの自衛隊派遣の国会承認が、委員会での
与党の強行採決、本会議では野党欠席という異常事
態の下で行われた。言語道断である。      
 このような国の政策の根幹、ことに安全保障政策
に係わることについては、できれば野党第一党の賛
成を得て、それがかなわないのであれば、正常な国
会審議の下、粛々と採決されるべきである。少なく
とも、それがこれまでの国会審議の「相場」だった。
  ましてや、本件は、戦後初めて、海外の危険な地
域に自衛隊を派遣するという、歴史的な大転換を意
味する。それが、このような異常な手続きでいとも
簡単に行われる。派遣される自衛隊員も浮かばれな
いし、日本国全体にとっても 大変不幸なことだ。 
  そもそも、その正当性が疑われるイラク戦争、そ
して、憲法違反の事態さえ想定されるイラク特措法、
その杜撰な法律の、その手続きにおいてすら瑕疵の
ある今回の派遣。何をかいわんや、である。   
  残念だったのは、河野洋平新議長の差配だった。

彼は、個人的には今回のイラクへの自衛隊派遣は慎
重にすべきという立場だったし、若い議員には過去
の戦争の歴史をもっと学んで欲しいという考えも度
々表明していた。もちろん、個人の立場と議長とい
う立場は峻別すべき場合もあろう。しかし、野党欠
席のままの本会議の、開会のベルを押さないという
選択肢は、今回十分にあり得た。        
  それどころか、議長の、本件に対する何らかの見
解すら表明されなかった。失望である。     
 それにしても、小泉首相は、本件に限らず、やり
たい放題だ。与党絶対安定多数のおごりもあるが、
何をやっても支持率が落ちない、むしろ上がってい
る 昨今の状況からは、彼がもはや誰の声にも耳を 
貸さず、ひたすら突き進むことにやむをざる面もあ
る。
 ここまでくれば、その責任は国民にあり、この国
のそれが限界と言わざるを得ないのかもしれぬ。

(発言の広場メルマガ No.141号より転載)

生活者主権の会生活者通信2004年03月号/03頁