イラクへの自衛隊派遣の国会承認が、委員会での
与党の強行採決、本会議では野党欠席という異常事
態の下で行われた。言語道断である。
このような国の政策の根幹、ことに安全保障政策
に係わることについては、できれば野党第一党の賛
成を得て、それがかなわないのであれば、正常な国
会審議の下、粛々と採決されるべきである。少なく
とも、それがこれまでの国会審議の「相場」だった。
ましてや、本件は、戦後初めて、海外の危険な地
域に自衛隊を派遣するという、歴史的な大転換を意
味する。それが、このような異常な手続きでいとも
簡単に行われる。派遣される自衛隊員も浮かばれな
いし、日本国全体にとっても 大変不幸なことだ。
そもそも、その正当性が疑われるイラク戦争、そ
して、憲法違反の事態さえ想定されるイラク特措法、
その杜撰な法律の、その手続きにおいてすら瑕疵の
ある今回の派遣。何をかいわんや、である。
残念だったのは、河野洋平新議長の差配だった。
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彼は、個人的には今回のイラクへの自衛隊派遣は慎
重にすべきという立場だったし、若い議員には過去
の戦争の歴史をもっと学んで欲しいという考えも度
々表明していた。もちろん、個人の立場と議長とい
う立場は峻別すべき場合もあろう。しかし、野党欠
席のままの本会議の、開会のベルを押さないという
選択肢は、今回十分にあり得た。
それどころか、議長の、本件に対する何らかの見
解すら表明されなかった。失望である。
それにしても、小泉首相は、本件に限らず、やり
たい放題だ。与党絶対安定多数のおごりもあるが、
何をやっても支持率が落ちない、むしろ上がってい
る 昨今の状況からは、彼がもはや誰の声にも耳を
貸さず、ひたすら突き進むことにやむをざる面もあ
る。
ここまでくれば、その責任は国民にあり、この国
のそれが限界と言わざるを得ないのかもしれぬ。
(発言の広場メルマガ No.141号より転載)
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