生活者主権の会生活者通信2003年07月号/A1頁..........作成:2003年07月07日/杉原健児

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NHK編集長様『NHKは間違ってます』

神奈川県津久井郡 74歳 平岡昭三 H.15.5.13.

前略                     
(一)H15.5.8.〜10. のNHKスペシャル「21世紀
 日本の課題・よみがえれ日本経済@AB」は、残
 念ながら、皆間違っています。NHKは、時々、
 経済や政治について、この種特集番組を組んで国
 民を啓蒙しています。そのこと自体はよいのです
 が、番組編成の発想の根本の処が、間違っている
 ので、折角の努力が、時間とエネルギーのムダに
 なり、国民に間違った情報と考え方を提供すると
 いう害悪を流す結果となっております。之は恐る
 べきことであります。            
                       
(二)問題点は次の通りであります。今の世の中、
 政治・経済・社会に諸悪が蔓延しています。税金
 のムダ使い、補助金バラマキ、ムダ公共投資、贈
 収賄、汚職、談合、ヤミ献金、族議員横行、一千
 兆円大借金、金権選挙、天下り、社会主義的統制、
 規制不緩和不撤廃、経済硬直化、空洞化、金融危
 機、倒産、失業、不良債、デフレ不況、福祉削減、
 増税、生活不安、環境汚染、教育荒廃、詰込、い
 じめ、落こぼれ、不登校、学校崩壊、少年犯罪、
 銀行過保護、超低利息、農政不在、交通渋滞、通
 勤地獄、新産業育成難、情報不開示、将来展望不
 在、等々幾百幾千、数え上げたらキリがありませ
 ん。之が、何十年も続いており、この国は、沈没
 寸前であります。              
    何故こうなのか、どうすれば治せるか、という
 根本の処には蓋をして、殆んど論議されず、一つ
 一つの枝葉の現象を嘆くのみなのが、この国の現
 状であります。               
                       
(三)そして、大方の人々は、その原因はよくご存
 知なのに、口にチャックで沈黙なのであります。
 そうです。之らは全て、100%、長年の自民党
 政治による過度の中央集権。一極集中の、政・官
 ・業癒着の、鉄の三角形の、集金・集票システム
 の、既得権体制によるものであります。よって、
 この根本を治さなければ、諸悪のたった一つの解
 消も、国の政治・経済・社会全体の蘇生も、絶対
 にできないのであります。そして、この治療を、
 自民党や既得権の輪の中に居る官僚や業界に期待
 してもムダであり、同党自身、このシステムのみ
 によって生存しており、之を止めること即、生命
 維持装置を脱ずす自殺行為になりますから、絶対
 にできないのであります。自民党の元副総裁の後
 藤田正晴氏ですら、「最早や、政権交代しかない」
 と言っております。悪いことに、サラリーマン等、
 国民の多くの人々も、自分もこの既得権の輪の中
 に入っていると錯覚していることであります。 
                       
(四)従いまして、先ずやるべきことは、    
 1.以上の根本の処の正否の再確認を、関係者全員
  での議論で徹底して行い、国民与論を引き出す
  こと。                  
 2.結論が正と出たら、上記既得権者を脱ずして、
  処方箋を見出すこと。           
 3.その方向としては、中央集権制が悪の根源であ
  りますから、之を解体し、その対極の、地方分
  権の究極の形であり、民主主義の理想の形であ
  る「道州制」への移行の可否を論ずべきであり
  ましょう。その形態と年次移行計画も突込んで
  議論されるでしょう。           
                       
(五)中央集権の解体は、必然的に経済的諸規制の
 大緩和、撤廃を伴い、之を可能にしますが、この
 解体なしには、官僚等の抵抗もあり、決して実現
 しません。そして更に、社会的諸規制の見直しと
 相俟って、この国の再生へと向うのであります。

  経済的諸規制は、現在一万件もありますが、現
 政府はこの1%位の緩和を標榜する丈であります。
 之では何の効果もないし、彼等には、それ以上の
 ことは自殺行為となり、出来ないのであります。
 世上、之が叫ばれても、ちっとも進まない所以の
 ものであります。精々、経済特区でお茶を濁す丈
 であります。                

(六)そして、規制の緩和・撤廃により経済を活性
 化自由化するということは、産業のスクラップ&
 ビルドの政策であります。即ち、生産性の低い産
 業は、最早、保護せず、自力による生死を選択し
 て貰うと共に、将来性のある新産業を強力に育成
 するという、大変厳しい政策であります。言わば、
 ハードランディングの政策であります。しかし乍
 ら、之なしではこの国の再生はあり得ません。先
 進国のみならず、途上国にてもその成功例はいく
 らでもあります。しかし乍ら、之は若干の痛みを
 伴います。労働界や既得権産業界等より反撥も出
 て来るでしょう。勿論、失業者は、新就職まで完
 全救済保証するとか、職業訓練や就職斡旋等、痛
 みを如何に軽減し、如何に短期化するか等の対策
 が強化されることになるでしょう。失業の完全保
 証など、数兆円あれば足りるでしょう。ムダな公
 共投資に数十兆数百兆使うことを考えれば、お安
 いご用であります。之ら痛みのすぐ先には、豊か
 な輝かしい未来が開けるのであります。    
                       
(七)何れに致しましても、上記スクラップ&ビル
 ドのハードランディングの政策を、国民が認める
 か否かが、成否のポイントであります。この議論
 を、徹底的に国民に詰めて貰うことこそ、NHK
 特集がやるべきことであります。労働界には、現
 代の「世界一の賃金」を少し下げて貰って、国際
 競争力の向上による企業の健全化を、そしてひい
 ては、「労働界の世界一豊かな生活」を目指して
 貰うという、大転換を考えて頂かねばなりません。
 不健全銀行は、どしどし潰れて貰うべきでありま
 す。健全銀行丈が残り、そこが有望企業には、ど
 しどし貸してくれる理であり、決して恐慌など起
 りません。健全銀行は早目に「私が貸します」と
 旗を立てればよいのであります。       
    以上により、不況もデフレも一ぺんに克服でき
 るのであります。之以外に克服の道はありません。
 この根本の議論を放置して置いたのでは、末梢的、
 その場しのぎの対策しかできません。急がば廻れ、
 であります。今迄、この最も大事な議論がつっ込
 んでなされたのを、見たことがありません。  
    そして、今回、NHK特集に出た人の多くは、
 既得権者でありますから、ソフトランディングの
 話ばかりで、真の処方箋が出て来る筈がありませ
 ん。ソフトランディングは1千兆円使っても、ダ
 メなことは実証済みであります。       
                       
(八)以上の説明により、今回のNHK特集の論議
 が、如何に上滑りでフルーツレスだったか、おわ
 かり頂けたと思います。それとも、NHKは、一
 般国民の聴取料で成り立っているにも拘わらず、
 政府の人選で会長が決まる等もあり、上記既得権
 の中に組み込まれているから、ソフトランディン
 グしか言えないと言うなら、何をか言わんやであ
 ります。                  
    それにしても、この国では、本当のホットな処
 の、率直な、生死を分かつ、激しい論議が、如何
 に少ないことか。根本論がなく、枝葉末節論ばか
 り。NHKの罪か。以上、今後の番組編成に少し
 でもご参考になれば幸いです。「やさしくて、可
 愛そう可愛そう」ばかりのNHKが、「激しいN
 HK」に脱皮するのが、日本再生の早道です。 
乱文乱筆を深謝し益々のご健闘を祈念します。草々

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