生活者主権の会生活者通信2002年07月号/14頁..........作成:2002年06月24日/杉原健児

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米国出張報告

衆議院議員(小平市) 末松義規

  4月末より、超党派の議員で連休を使って米国に
飛び、米国要人と安全保障について協議してきまし
た。こちらは、額賀元防衛庁長官を筆頭とする議員
団等、先方は上院議員・下院議員との面談のほか、
アーミテッジ国務副長官、ファイス国防次官、スコ
ウクロフト元大統領補佐官、ハムレ戦略国際研究所
(CSIS)、スタンレー・ロス元国務次官補等々、
著名な米国政策立案者・遂行者の方々でした。    
                                              
1.アフガンで、泥沼の入り口に立つ米国!      

    米国の現地TVや新聞では、「米国は、イラク
  を攻撃すべきか否か?!」というテーマの下、国
  全体が、イラク攻撃を真剣に検討中という雰囲気
  にまず驚かされました。著名な専門家が、一方で
  はイラク攻撃の必要性を蕩々と述べ、かたや、絶
  対にこれ以上戦線を拡大してはだめだとお互いが
  主張し、大激論をしていました。まず、私たちは、
  フロリダ州タンパの中央司令軍を訪問。ここが、
  アフガンや、コソボ、ボスニア等の現在、戦闘を
  行っている現地と毎日テレビ会議を行いながら実
  際に戦闘を指揮しているところです。トップの大
  将、総司令官はフランクス大将でした。アフガン
  における米国軍の緊急課題は、アフガン国軍6万
  人の創設です。そのアフガン国軍が創設できず、
  米軍が去れば、また元の木阿弥となり、無政府状
  態になりかねません。米軍のいる今でさえ、地方
  は軍閥が割拠し、治安が極端に悪くなっています。
    米国は、そのアフガン国軍創設に2年間ぐらい  
  の期間をみているようでした。しかし、みなさん、
  このアフガン国軍の創設が曲者なのです。ソ連も  
  1979年の侵入後2年間は連戦連勝でした。しかし、
  親ソ・アフガン軍の養成がうまくいかず、泥沼化  
  し敗退していったわけです。アフガン部族がバラ  
  バラで互いに反目し、憎しみ合ったりしているか  
  らです。おそらく米軍は、これからアフガンの本  
  当の恐ろしさを体験することになるでしょう。砂  
  上に楼閣を建てようとしていることに気づいてい  
  くのです。アフガン国軍を育ては崩れ、育ては崩  
  れていく恐怖です。歴史的に、かつての王者大英  
  帝国も、一方の覇者だったソ連もアフガンに手を  
  出して大失敗をしています。次は、現代の最強国  
  アメリカか・・・・・!?                      
                                                
2.対イラク攻撃は、底なし沼の入り口になる!?  
    そういうアフガン泥沼化の危険性の高いときに、
  イラクに手を出して攻撃を仕掛けるのは自殺行為  
  です。イラクの場合は、アフガンと比べものにな  
  らないほど、国際的反発が強くなります。さらに、
  ただでさえ、危ない状況のインド・パキスタン関  
  係が暴発し核戦争にでもなったら世界はとんでも  
  ない混乱へ。今のところ、パレスチナ問題が噴火  
  状況のため、ブッシュ大統領は、対イラク攻撃を  
  避けていますが、攻撃の意志は固めている由。ス  
  コウクロフト元大統領補佐官は、私の質問にシャ  
  ープに回答しました。「コソボやボスニアにも米  
  軍は数年間駐留しており、まだ、解決に至ってい  
  ない。アフガン駐留も下手をすると10年間はか  
  かる。そのようなときに、米国があえて対イラク  
  攻撃を行うことは、安全保障上得策でないことは  
  自明の理だ」どんな戦争であれ、戦争というもの  
  は、幾世代にも亘り物心両面においてあまりにも  
  高い代償を払うことになると日本民族は悟りまし  
  た。私たちは米側に対し、「もし米国がイラクを  
  攻撃するようになっても、日本は米国への応援は  
  しないよ!」と言い切ってきました。米国政権の  
  未熟さにより、世界に新たな血が流されることを  
  許してはなりません。                          
                                                
3.悪の枢軸国発言が世界で嫌われる理由          
    ハムレCSIS所長が私にこう尋ねてきました。
  「米国内では、ブッシュ大統領の悪の枢軸国(イ  
  ラン、イラク、北朝鮮)発言は、90%ぐらいの人  
  が支持し人気が高い。なのに、海外では、とても  
  評判が悪い。なぜだと思う?」                  
    これに対し、私の方から、「確かに、イラン、  
  イラク、北朝鮮の素行は悪いと大半の国が認める  
  だろう。ただし、同じように、大半の国が悪の枢  
  軸国発言を不愉快に思うのは、よその国に対し    
  『悪か、善か』という判断を米国のみが決めつけ  
  ようという独善的な態度がその理由だ。米国の心  
  証を害した国が、まるで悪だと言われかねないこ  
  とになるからだ。                              
    これを聞いたハムレ所長以下米国側関係者は、  
  『なるほど!』と率直にうなずいていました。後  
  で、その中の何人かから「Mr.末松の率直な意  
  見はとても印象的だったので、また、個人的に連  
  絡を取ってくれ」と言われました。米国人と話す  
  ときは、自分の考えたことをズバズバ遠慮せずに  
  言って自分を表現する方が理解されやすいのだな  
  と改めて感じました。(新☆創造ニュースより)  

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