生活者主権の会生活者通信2002年06月号/06頁..........作成:2002年05月22日/杉原健児

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島国根性を脱し、健全な国民精神を回復せよ

大田区 大谷和夫

(1) 最も安上がりな趣味                      
  無芸大食、仕事一筋(?) で現役時代を終え、サ
ンデー毎日の道楽時代に入って、さて毎日をどう過
ごしたらよいか、多くのサラリーマンが一度は辿る
道であろう。退役後既に十年以上経過して、種々の
経験の中から最もお勧めできるメニューをご紹介し
たい。                                        
  道楽時代に一番大切な事は何といっても心身の健
康維持である。誰にでもお勧めできる最も安上がり
な趣味とは、毎日適度の散歩をし身体を鍛えながら、
公立の図書館に行って本を借りてきて読書し、知的
好奇心の充足をはかりながら頭の訓練をすることで
ある。これだと一文もかからない。それだけでなく
テーマを決めて掘り下げてゆくと、今まで知らずに
きた大事なことが、古今東西にはこんなにもあった
のかと驚くばかりである。                      
  テーマは何でも好い。私の場合は世界史、日本史
が中心であったが、世界のことを調べれば調べるほ
ど、日本の特殊性がよく分かってくる。そしてなん
と肝心の日本人がよく知らない日本の特殊事情が結
構ある。ここにはその具体例のごく一部をご紹介す
る。                                          
                                              
(2) 情けない戦後の日本                      
  ドイツは戦後を完全に清算したという。分裂して
いた東西の統一を果たし、1995年の戦後50周年記念
式典で、イギリスとフランスは先の大戦がドイツ一
国の責任ではないことを公式に認めた。そしてユダ
ヤ人への謝罪を進め、今やイスラエルの中でもドイ
ツが最も信頼される状況になったと言われている。
  これに反して日本では、同じ95年には、阪神大震
災、地下鉄サリン事件、警察庁長官射撃事件、ペル
ー事件など発生し、危機管理のできない国として情
けない状態にある。又従軍慰安婦、南京大虐殺、尖
閣諸島や竹島問題で周囲の韓国や中国のなぶりもの
にされ、北朝鮮の拉致疑惑にも前進が見られない。
武力=侵略戦争という誤った図式に落ち込み、国連
憲章でも第七章で「平和に対する脅威、侵略行為に
対する武力鎮圧」を定めているが、占領軍に押しつ
けられた平和憲法を有り難がって弱腰外交を続けて
いるため、諸外国にバカにされている。故に軍隊と
諜報機関をもって世界に貢献すべきであるとの声も
でてきた。                                    
  戦争責任だとか侵略による加害責任とか、東京裁
判史観に洗脳された自虐的議論が多かったが、情報
公開などにより次第に戦後というか占領中のことが
明らかになってきた。又東京裁判を批判していたの
はインドのパール判事だけでなく、世界十四ヶ国の
識者85人が東京裁判を批判する図書が発行されるよ
うになった。即ち東京裁判は国際法違反であり、連
合国の戦争責任を追及しない不公正なもので、日本
は東京裁判史観に拘束されないというのがサンフラ
ンシスコ平和条約十一条の正しい解釈である。更に
「侵略」戦争というのも何と誤訳であり、「war of
 agression」の訳語には「侵攻」戦争が正解で、挑
発を受けずに武力行使をする意味であった。ところ
が日本は石油の禁輸など敵の挑発行為によるやむを
得ない自衛戦争であり、国際的には侵攻でもなけれ
ば勿論侵略ではない。そしてそれに気が付かないの
が世界の中で当の日本人だけだという甚だ奇妙な状
態にある。                                    
                                              
(3) 占領中の言論統制                        
  占領期間中には新聞や書籍などに次のような叙述
があると、削除又は発行禁止の対象になるというマ
スコミを支配するGHQの検閲基準があった。    
  SCAP−連合国最高司令官(司令部) に対する
批判、極東軍事裁判批判、SCAPが憲法を起草し
た事の批判、検閲制度への言及、米国に対する批判、
ロシアに対する批判、英国に対する批判、朝鮮人に
対する批判、中国に対する批判、他の連合国に対す
る批判、連合国一般に対する批判、満州における日
本人取扱についての批判、連合国の戦前の政策に対
する批判、占領軍兵士と日本女性との交渉、占領軍
軍隊に対する批判、戦争擁護の宣伝、神国日本の宣
伝、軍国主義の宣伝、ナショナリズムの宣伝、大東
亜共栄圏の宣伝、その他の宣伝、戦争犯罪人の一切
の正当化および擁護。                          
  これらを見ると占領軍による「戦争犯罪周知宣伝
計画」の一環で、明らかに国家主権の全面否定、国
家意識の削除、即ち反日原理主義の温床、自虐思想
の根源と見られ、占領状態の終了時に明確なけじめ
として上記「戦争犯罪周知宣伝計画」の完全否定と
大掃除を怠った為に、マスコミ、教育界、一部の学
界などに今尚継続して生き残っている事が知られよ
う。                                          
                                              
(4) 戦争状態の終了はいつか?                
  日本では1945年(昭和20年)8月15日を終戦記念
日としている。しかし之は日本が降伏の意を表した
日に過ぎず、ソ連などはその後もどんどん侵略して
きた。一応9月2日のミズーリ号での降伏文書の調
印で正式に日本は被占領状態に入った。この間日本
の国家主権は奪われ、国家としては滅亡状態にあり、
その間に憲法が改訂され、東京裁判が行われ、言論
統制と教育改革、その他の改革が行われ、二度と立
ち上がれぬよう国民精神の解体作業が行われ、多く
の反日主義者を養成した。                      
  1951年(昭和26年)9月8日ソ連、中国などを除
き、サンフランシスコ平和条約が調印され、翌52年
(昭和27年)4月28日発効し、正式に戦争状態、占
領状態が終了し、日本は再び独立した。          
  本来ならば、独立の回復と共に、占領中の偏向を
清算すべきであったが、日本はそれを怠った。更に
甚だしいのは実質的に言論統制が継続すると共に、
殆どの歴史書にも独立した日が明記されておらず、
人々の記憶にもないという甚だ不可思議な現象が現
れており、国家意識の喪失は憂慮すべき状態にある。
  本年(2002年) は丁度独立してから満50年にあた
る記念すべき年であるが、政府、国会、マスコミす
べてそのことを忘れているか、或いは未だに精神的
には占領状態が継続しているとしか思えない。我々
はこの際是非占領中の洗脳教育を清算し、健全な独
立国としての再生を図るべく活動したいと思う。  
                                              
(5) 東京裁判の影響                          
  世界の識者の間では東京裁判は間違っており、勝
者の敗者に対する復讐劇だというのが今や定説にな
っている。戦勝国側がその占領政策と東京裁判の非
を悟り、フルブライト留学奨学金などさまざまな形
で反省や謝罪の意を表しているのに、なぜ当の日本
だけがそのからくりに気が付かないのか。東京裁判
史観ともいうが、東京裁判で刷り込まれた自国悪玉
史観(侵略戦争、植民地支配、戦時中の残虐行為の
三本柱) を信奉し、謝罪を国是とする世界史上前代
未聞の国が出来上がってしまったが、左翼マスコミ、
進歩的文化人、日教組、左翼政党の四人組が、独立
後も未だに占領政策を改めることを拒み、偏向を扇
動し続けている。東京裁判の影響による日本の異常
性として具体的には次の8項目が挙げられる。    
1)占領憲法:一行も改められていない。日本去勢化、
      愚民化を目的とした毒饅頭憲法である。    
2)謝罪外交:近隣諸国に土下座して独立国家の自尊
      心を全く失っている。                    
3)ODA:償いの為世界に金をばらまいている。借
      金して恵んで歩く愚かな国。              
4)自衛隊アレルギー:第九条こそ国家を窮状に追い
      込んだ元凶と気がつかない。              
5)占領軍命令による教育の反日化墨守:修身、教育
      勅語を廃止し、反日は善、愛国は悪という反
      日教科書の酷さは戦後一貫変わらない。特に
      歴史教育者協議会はひどい。              
6)国旗、国歌、靖国神社を軽視している。戦犯を祀
      った靖国神社への参拝を中国と韓国は非難し
      ているが、内政干渉であり、A級戦犯は国際
      法的にも又国会でも昭和28年に社会党左派を
      含めて否定決議されていることを明確にすべ
      きである。むしろ中国と韓国の歴史教育の偏
      向に抗議すべきである。                  
7)日本の伝統文化、美俗を否定し、家族制度を破壊
      し、日本人の心を喪失している。          
8)国家意識と軍事問題に関しては、極度の萎縮作用
      を示す姿勢から脱却できない。            
  以上、原罪は占領政策で捏造された謀略であり、
占領軍の虚構に気付き、戦争犯罪贖罪意識の払拭が
必要である。島国農耕民族特有の自責を美徳とする
国民性が逆用され、自責を自虐に追い込んだもので
ある。                                        
  更にドイツはユダヤ人虐殺を問題にされ、東西二
分されたため正式な講和条約を結んでいないが、そ
の相違点を知らずにドイツは謝罪しているのに日本
がしないのは怪しからぬといった見当違いな議論が
時々現れるが、国家意識の稀薄化、愛国心の誹謗は
亡国の兆であり、その淵源は東京裁判史観にあると
思われる。一刻も早く、島国根性を脱し、健全な国
民精神を回復すべきである。                    
                                              
参考文献:                                    
「歯がゆい国  日本」クライン孝子著  祥伝社    
「敗戦後論」加藤典洋著  講談社                
「戦争責任・戦後責任−日本とドイツはどう違うか」
                        粟屋健太郎他  朝日選書
「安全保障−戦後五十年の模索」                
                        田中明彦著  読売新聞社
「戦争責任」家永三郎著  岩波書店              
「日本の近代6・戦争・占領・講和  1941〜1955」
                      五百旗頭真著中央公論新社
「この一冊で日本の歴史がわかる」              
                        小和田哲男著  三笠書房
「国民の歴史」西尾幹二著                      
          新しい歴史教科書をつくる会編  扶桑社
「歴史教科書の歴史」小山常実著  草思社        
「世界がさばく東京裁判」佐藤和男監修          
      終戦五十周年国民委員会編  ジュピター出版

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