忘却への回帰 -2

東京都渋谷区 塚崎 義人

「かたよらないこころ、こだわらないこころ、とらわれないこころ、

ひろく、ひろく、もっとひろく〜〜〜」

薬師寺元管長・故高田好胤師

源流-2(心の世界)

もう一度、物質世界(宇宙)と生物世界(生命)のおおもとを確認しておきます。

物質世界はエネルギー「特異点」の大爆発で始まりエネルギーは急速に物質へと変化を始めました。初期物質(原子核)は電子をとらえ物質を構成する元素に、元素は重層構造になりながら離散集合を繰り返して星々や銀河系を形成し、今では物質が生物(微生物から植物、動物、そして人間)などを構成できるまで成長しています。

物質世界(宇宙)はちょうどビンが水で満杯のようにエネルギーが満ちています。

そのエネルギーは物質へ変化し物質がエネルギーへ変化「体系」するというダイナミックな活動をくり返えしています。ただ水のイメージと違うのはエネルギーが変幻自在にあらゆる物質に変化できることで其処は無限の可能性(ある・ない)を秘め何でもありの世界(宇宙)と考えています。

物資世界(宇宙)のおおもとはエネルギーです。宇宙に存在するエネルギーと物質の総量は不変、減りもせず増えもせずただただありとあらゆるものに変化を繰り返す世界です。この活動が止まるのはすべての物質がふたたびエネルギーへ変換し終わって静寂な終焉「展開」を迎えるといわれています。

 ・特異点:「エネルギー」

 ・体 系:「エネルギー 物質・物質 エネルギー」

 ・要 素:「素粒子」

 ・展 開:「終焉」

 生物世界は化学反応で生まれた自己複製「特異点」する物質(生命)が始まりです。

その物質(生命)は核酸分子「要素」とよばれ猛烈に自己複製を繰り返していました。

そのうち偶然か必然かはわかりませんが、核酸分子は全身を被膜に覆われ内界(核酸分子)と外界(環境)に区分けされ、このことから単に自己複製する核酸分子ではなく生物をも生成できる構造と機能を持つ一つの個体の細胞(生きもの)となりました。

それ以後、細胞は活発な生命現象(自己増殖「体系」)活動へ進み、時を経て細胞内の核酸分子は「遺伝子(自己複製DNA)と生命活動(自己増殖)」という役割に分かれ、しっかりした形態と構造を持つ生物を形成できるまでになりました。

細胞は爆発的な生命活動へと突き進み、細胞同士結びつきさまざまに機能分担する多細胞体(各器官)へ、多細胞体は組み合わさり何かしらの個体へ、個体は形態と機能などにすこしずつ違いが現れ個性(性質や能力)を持ち多岐に枝分かれし多種多様な生物へと変化していきました。生物は厳しい外界(自然環境)での生存が可能になったおかげで、今では長い時間をかけながら高度な生物次元と多重階層の生物世界(微生物から植物、動物、そして人間)を築くまでに成長しています。

生物は核酸分子+細胞+多細胞体+個体の集合体です。人間のように精巧でち密で効率よく組織化され高度な構造を持つ集合体(生物)も存在しています。ただこの集合体はいったんバラバラになると生物ではなく単なる物質世界の存在でしかなくなります。

生物を無生物でなく生物として存在させるもの、それは生命です。生命に関してはいろいろ多様な見解がありますので、ここでは核酸分子+細胞+多細胞体+個体のバランスのとれた集合体を生物(生命)とだけ述べます。生物は生命維持のため外界(環境)から物質(エネルギーとなる)を体内に取り込みエネルギーに転化させ生命を維持しています。生物世界の生命現象活動は物質世界の「エネルギー 物質・物質 エネルギー」活動と同じように生命維持のため体内で物質をエネルギーにエネルギーを物質に転化させる現象を繰り返している世界です。 

生物世界(生命)もおおもとはエネルギーでした。近年、遺伝子(DNA)が変化することで変幻自在(自然的・人工的でも)な生物が生まれると再認識され、やはり生物世界(生命)も物質世界と同じく無限の可能性(ある・ない)を秘めた何でもありの世界と考えられます。ただし今のところは、すべての生物は体内の細胞分裂生命現象を支えるエネルギーが燃焼し尽くしたあとは静かな終焉を迎えています。

 ・特異点:「自己複製」

 ・体 系:「自己増殖」

 ・要 素:「核酸分子」

 ・展 開:「自然淘汰」

 物質世界も生物世界も二つの世界は「エネルギー=物質(質量)は同等」という

エネルギーがおおもとの世界でした。 では心の世界のおおもとは?