アベノミクスはなぜ失速したのか

千葉県柏市 峯木 貴

 

■アベノミクス失速

 

アベノミクスとは、長期にわたり低迷していた日本経済の主原因になっている「デフレ」から脱却するために、以下の3つの政策を旗印に安倍政権の経済政策の中心をなすものである。

 

1.大胆な金融政策

2.機動的な財政政策

3.民間投資を喚起する成長戦略

 

 しかし、安倍政権発足から3年余りたったが、デフレ脱却は道半ばである。まだ、結論は出ていないのだが、アベノミクスが失速していることは事実である。

 

 

■アベノミクス失速の原因(一般論)

 

原因は何か?

 

よく言われているものは、消費税を8%に増税したということ。

 

しかし、景気はある程度回復しており、10%の増税は見送った。しかし、これはアベノミクス自体の原因ではなく、外部要因である。

 

もう一つ言われていることは、第3の矢が内部矛盾をきたしているというもの。

 

3の矢は構造改革である。これはもっぱら供給サイドの構造改革で、インフレ対策と言われるものである。つまりインフレにならないようにする、イコールデフレ促進策である。

 

アベノミクスはデフレからの脱却であるから、内部矛盾を起こしている、というのである。

 

しかし、第3の矢はほとんど機能していないので、その内部矛盾でアベノミクスを崩壊させるほどにはなっていない。

 

 

■アベノミクス失速の本当の理由

 

それではいったい何が原因なのか。

 

わたしは第2の矢が思ったほど機能していないからと考えている。

 

2の矢は機動的な財政政策で、ほぼほぼ公共投資といっていい。

 

これには、構造的欠陥が内在しており、アベノミクスがうまく機能していないと思っている。

 

本来は、東日本大震災が起こり、政府の推進している国土強靭化政策とともに、公共投資が進むと考えられてきた。しかし、それがうまくいっていない。

 

これは、現場の声を聞かないと、状況はよく把握できないだろう。

 

一例だが、最近、安倍首相が福島に行った、という報道があった。

 

その時に地元に説明したのは、福島の生命線となる、高速道路のある区間を4車線化するというもの。そして、今年中に着工する、と首相は明言した。

 

しかし、工事の責任者に話を聞くと、とんでもない空約束だという。ここ5年間、工事着工などはできない状況だそうだ。つまり、人材、資材、トラックが足りないのだ。

 

政府は、補正予算でも組んで予算を振り分けることはできるが、肝心な現場ではそれをこなすことができない。笑い話にもならない。もったいない話である。

 

人材・資材不足という構造的な欠陥があるためである。

 

これはアベノミクスの隠れた瑕疵であり、この構造を変えない限り、いくらアクセルをふかしても景気は高揚しないだろう。ただし、特に人材不足は日本経済の根本的な欠陥で経済政策がアベノミクスでなくとも、失敗するほどの力を持っているとも考えられる。

 

人材不足ならば移民を入れろ、というような意見もあるが、そんなに簡単な話ではない。

 

現場の技術者が足りないのだ。