忘却のかなたから -1

東京都渋谷区 塚崎 義人

 

「かたよらないこころ、こだわらないこころ、とらわれないこころ、

ひろく、ひろく、もっとひろく〜〜〜」

薬師寺元管長・故高田好胤師

社会は真似ごと

社会は、人々がお互いに影響しあい共に結びついている生活の場、この場で大切にされるのは人々の社会意識(社会の一員という自覚)です。社会意識とは社会を構成する人々が共有する社会の規範や社会の価値意識のことです。

 

この社会意識を共有できるようになるには赤ちゃんのときからの「真似る」という行動が大きく影響します。まずご両親の仕草を真似ることから始め次々と接する家族や友達や学校や社会など数限りない人々の真似をし一体感を得ることで社会意識を共有します。

社会の一員だという自覚をするようになってからも、たぶん真似るという行動は止めず一生涯「真似る」ことを続けているようです。その典型的な例が「師匠と弟子」の関係で、弟子は師匠の技能や考え方や内面の精神的な深さまでを真似て真似ることで自身を磨き自分の能力とレベルを高め、ついに師匠を超え新たな価値を創造する境地へと踏み出し、また次世代へと創造価値を伝えていきます。「真似る」という行動は社会を成長させ発展し社会を持続させる原動力ということがわかります。

 

世界には、さまざまな社会が数限りなくあります。その中には少しばかり違和感のある幾つかの社会が不都合に集まっている地域もあり、その地域は不自然さを含んで国という名のもとに国境線にかこまれ一体性を要求されている寄り合いの社会(国)も見うけられます。国境線という無理な囲い込みで不要な問題を起こしている地域もあるようです。

渾沌とした現代社会を知り社会意識の中身を理解し、現代の人々が社会意識として真似ているものが何なのかを具体的に明らかにすることができれば、人々の生活が豊かなものになるのではと考えます。

 

そこで社会で起こるさまざまな社会的現象を詳細に観察するため大きく五つの分野(政治・経済・言語・芸術・精神)の枠にくくり社会でどのように真似され社会はどんなふうに次世代へ引き継ごうとしているかを観察していけば社会の理解がより深まるのではと考えました。社会現象は一般的に文化活動(政治・経済・言語・芸術・精神)ともよばれます。まずは文化活動を時間(過去・現在・未来)という流れから観察しようと思います。

現在、人々は文化活動の何を真似ているのでしょう?

・祖先(過去)は、何を真似て受け継いでたのでしょう?  

・家族(現在)は、何を真似させて受け継がせるのでしょう? 

・子孫(未来)は、何を真似て受け継ぐのでしょう?

 

次回、「真似る仕組み」を社会の時間軸から観察してみます。