官僚と闘う政治の注目情報詳細(20108)

 

1.建設弘済会を3年以内に解散 国交相方針、4千人を再就職へ

201076日 産経新聞)

 前原誠司国土交通相は6日、同省OBが多数天下っている同省所管の公益法人「建設弘済会」について、「『民間でできることは民間に』という考え方のもと、業務から撤退してもらう」と述べ、事業を段階的に民間へ移管したうえで、3年以内を目途に解散させる方針を明らかにした。また同様にOBが天下っている「空港環境整備協会(整備協)」についても、事業を大幅に縮小する考えを示した。

 建設弘済会は、弘済会のほか「建設協会」「地方計画協会」などの名称で全国に9つあり、国が道路やダム工事を発注する際の図面や積算資料の作成などを請け負っている。職員数は計4358人で、うち548人が国交省OB。整備協は全国18の国の管理空港で、周辺の駐車場を独占的に運営し、その利益で騒音やテレビの受信障害を防ぐなどの環境対策を行っている。職員数は246人で、うち国交省OBは68人。

 この日の閣議後会見で、前原氏は建設弘済会について「4千人を超える人の再就職の問題があるので、(解散までに)3年程度必要と思っている」と述べた。民間企業の資本金などにあたる約535億円の正味財産の一部を職員の退職金などに充当し、残りを国庫に返納する。今後、外部有識者を交えた検討チームを省内に設け、民間事業者への事業譲渡などについて検討する。

 また、整備協について前原氏は「(航空機の騒音や排ガスなどの)研究事業に特化させる」として、現状からの大幅縮小を表明。約170億円の正味財産については「(空港の)駐車場料金の値下げに使うのか、国庫にどの程度、寄付できるのかを今後議論していきたい」と述べた。

 これらの法人については、天下りや多額の「埋蔵金」が問題視され、5月に行われた政府の事業仕分けでも俎上にのぼっていた。

 

 

2.予算編成に先立ってムダ削減等に取り組む

2010716日 ながつま昭の写真日記)

 本日、閣議後記者会見が開催されました。

 平成23年度予算の概算要求に関する質問に対し、ながつま昭は、「厚生労働省は非常に予算規模が大きい役所ですので、まず、ムダ遣いの削減や社会保障給付の不正の是正に厳しく取り組んで参りたい」と述べ、予算編成作業に先だって、ムダ遣いの削減などに取り組んでいく方針を示しました。

 

 

3.<蓮舫行政刷新相>特別会計仕分けで法改正も

2010718日 毎日新聞)

 蓮舫行政刷新担当相は18日のテレビ朝日の番組で、10月に実施する国の特別会計を対象にした「事業仕分け第3弾」に関し、「12年度の法改正を目指して(仕分け作業を)やろうと思っている」と述べた。各特別会計は法律に基づいて設置されており、抜本的見直しには法改正が必要だが、参院選で民主党が大敗し、法改正には野党との連携が不可欠。蓮舫氏は15日の記者会見で、仕分け作業への野党議員の参加に関し「いろんな可能性は否定しない」と含みを持たせており、事業仕分けを通じて野党との連携を呼びかける可能性もある。

 蓮舫氏は18日の番組で、歳出総額176兆円の特別会計について「お金の流れが分からない。既得権益化し、特定の方たちがおいしい思いをしている構造がある」と問題点を指摘した。【青木純】

 

 

4.社説:国家戦略室縮小 政治主導の後退避けよ

2010718日 秋田魁新報社)

 官僚丸投げの政治をやめ、内閣の下で政策決定を一元化していくというのは、昨年の衆院選マニフェスト(政権公約)で、民主党が最も力を入れて訴えていた有権者との約束ではなかったか。

 その「脱官僚、政治主導」の目玉政策が道半ばで揺らぎ始めている。菅直人首相が、政権運営の司令塔と位置づけた国家戦略室の「局」格上げを見送り、役割の縮小をも表明したのだ。

 既存の枠組みにとらわれない思い切った予算の増額や削減は「政治主導」によってこそ成し遂げられると、民主党はこれまで繰り返し主張してきた。それにもかかわらずの方針転換である。「政治主導はこのまま後退していくのではないか」。国民の不信感は確実に強まっている。

 菅首相が描く新しい国家戦略室は、首相に政策提言や情報提供を行うブレーン機能に特化させた組織である。英内閣の首相助言機関「ポリシーユニット」がモデル。首相の指示に従い、外交や安全保障分野も含めた提言を策定する。

 政策面で首相を支援する態勢は強化されるが、位置付けは提言機関にとどまる。構想では、格上げ後の「国家戦略局」は省庁間の調整を図りながらトップダウンの政策決定を推し進める要の機関となるはずだった。それだけに大幅な方針転換と受け止められても仕方あるまい。

 注目は首相が戦略室を関与させないとした2011年度の予算編成だ。「官房長官、財務相、党政調会長の相談で予算を編成するなら自民党内閣と同じだ」と、首相方針には民主党内からも批判的な意見が出ている。

 首相は、政治主導、官邸主導で予算を編成する方針に変わりはないと強調しているが、財務省主導の予算編成になるのではないかとの危惧(きぐ)をぬぐい去る明快な説得力はない。

 戦略室に代わる省庁間の政策調整は、仙谷由人官房長官が軸になって進めるというが、縦割りの省益を打破し、官邸主導の国益へつなげる道筋をどうつけていくのか。菅政権の今後を占う試金石となろう。

 参院選での大敗が政権運営に徐々に影響を及ぼしつつある。民主党が方針転換を余儀なくされた背景にも、戦略室の体制強化に必要な政治主導確立関連法案の成立が困難な状況になったことがある。政権交代を成し遂げた際のマニフェストの相次ぐ軌道修正も、参院選の敗因になった。これで目玉政策がぐらつくようでは、菅首相の求心力低下にもつながりかねない。

民主党は官僚主導の象徴だった事務次官会議を廃し、事務次官会見も取りやめた。それが単なる官僚外しではないことを証明するには、官僚を使いこなしながらの政治主導の体制を早急に確立することが必要だ。それが実現できないなら、国民の政治不信はますます増幅するということを肝に銘じるべきだ。

 

 

5.国の出先機関職員6万人削減へ…総務相意向

2010724日 読売新聞)

 原口総務相は24日、横浜市内で開かれた会合で、国の出先機関の原則廃止に伴う国家公務員の削減について、「6万人」を目指す考えを表明した。

 全出先機関の職員約20万7000人(2008年度)について、政府の地方分権改革推進委員会は、麻生政権(当時)下の08年12月に出した第2次勧告で約3万5000人の削減を目指すとした。総務相の発言は、民主党政権下で2万5000人程度の削減上積みを図るものだ。

 総務相は、削減方法について、「生首は切れない」と述べ、新規採用者の大幅抑制や定年退職による自然減によって実現する考えを示した。

 政府は今年6月に、国の出先機関を将来的に原則廃止するとした地域主権戦略大綱を閣議決定している。

 

 

6.やるじゃないか長妻大臣

 2010727日 日刊ゲンダイ)

●子ども手当もこれでスムーズか

 長妻昭厚労相が23日に発表した幹部人事に、厚労省内が騒然だ。民主党マニフェストの目玉だった子ども手当の担当局長が更迭された。

 30日付で、局長職を解かれ、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」に出向するのは、伊岐典子雇用均等・児童家庭局長(53)。福岡出身で、東大法学部を卒業後に旧労働省に入省した才媛で、省内の女性キャリアとしては出世頭だった。

 伊岐氏は、出向先で研究職に就く予定。局長経験者が、現職のまま一般職員に出向するのは極めて異例で、事実上の左遷人事となる。

 更迭人事の背景には、子ども手当の導入などをめぐり、長妻大臣と伊岐氏との対立があったようだ。

「伊岐局長の子ども手当導入時の対応が、長妻大臣との関係悪化の決定打でした。政権交代後に大急ぎで法案を整備したとはいえ、伊岐局長は子ども手当の“抜け穴”を放置してしまった。例えば、海外に子がいる在日外国人も受給できる問題です。民主党嫌いのメディアや自民党が“海外でたくさんの養子縁組をした親が丸儲け”と攻撃するまで、伊岐局長は長妻大臣に説明を怠っていた。本来なら法案作成の段階で問題に手を打つべきですが、彼女にはそうした姿勢は見られない。長妻大臣のイラ立ちは募るばかりでした」(厚労省関係者)

 事業仕分け第2弾で「廃止」と判定された「女性と仕事の未来館」についても、担当の伊岐局長は「廃止はムリ」の一点張りだったという。

「伊岐局長は仕事はマジメですが、融通が利かない。東大法出身らしく、前例踏襲主義の典型的な官僚タイプ。長妻大臣が自民党政権と違った政策を打ち出そうとすると、『ムリです』『できません』と抵抗する。長妻大臣とは事あるごとに対立し、常に議論は平行線でした」(厚労省事情通)

 長妻大臣は今回の人事で、従来よりも年次が若い岡崎淳一官房総括審議官(53)を官房長に抜擢した。大臣肝いりの省内事業仕分けで成果を挙げたのが、その理由だ。

 やっと、厚労省の人事も民間に近づいたということか。

(日刊ゲンダイ2010724日掲載)

 

 

7.<菅首相>国家戦略室の局昇格法案 秋に成立目指す考え表明

201083日 毎日新聞)

 菅直人首相は3日の衆院予算委員会で、国家戦略室を「局」に格上げする政治主導確立法案について「衆院で継続審議になっており、まずはその審議をしかるべき国会で継続させていただきたい」と述べ、今秋の次期臨時国会での成立を目指す考えを示した。みんなの党の江田憲司幹事長への答弁。衆院の質疑は同日で終わり、4日から論戦の舞台は与野党が逆転した参院に移る。

 江田氏は戦略局について(1)首相直属とし、局長職を官房副長官から閣僚にする(2)国会議員や民間人局員の増員(3)所掌事務を「予算編成の基本方針の企画立案及び総合調整」とする、などの修正を求め、政府側が応じれば法案に賛成すると表明。仙谷由人官房長官は「その種の法案を作っていただければ真剣に検討する」と答弁し、修正案の提示を求めた。

 首相は戦略室に関し、鳩山政権で担っていた各省間の政策調整機能を外し、首相のシンクタンクに機能縮小させる方針。同法案と首相方針の整合性に関し、仙谷氏は3日の衆院内閣委員会で「首相のいう知恵袋的な部分と、法案(で定められた)任務の税財政の骨格の企画立案は照応している」と述べ、矛盾しないとの認識を示した。一方、公明党の高木美智代氏は「取り下げて出し直すべきだ」と指摘した。【田中成之】