危険の分散を急げ!

生活者主権の会代表 小俣 一郎


もうすぐあの東日本大震災から1年が経つ。

あの時を境に、地震を千年の単位で考えなければならなくなった。過去の予測はそれこそすべて見直さなければならなくなった。あらゆる可能性を考えることが必要になった。

1月23日に東大地震研究所が「4年以内にM7級の首都圏直下地震の確率が70%」とHPに公表し一騒ぎあった。続いて京大の研究者が1月時点で「M7以上の首都圏直下型地震が起きる確率は5年以内に30%弱」と試算した。

その後東大地震研究所が再計算して「今後4年以内に50%以下」に訂正したこともあり、政府の地震調査委員会は、精度に問題があるから、短期的な予測は出さないと決め、予測が暴走するのを防ごうとしている。

それはともかく、地震は遅かれ早かれいつかは起こるのである。これは日本の宿命である。日本は地震や津波から逃れることはできないのである。

 避けて通れないのであれば、その被害をいかに最小限にとどめるかを考えなければならない。

関東大震災等からの期間で予測して、首都圏を襲う地震が来るぞ来るぞと言われてから、かなりの時間が経っている。

あの地震には強いと言われていた神戸に先に大地震が起こり、頻繁に地震が起こりその対策に気を配っていた東北に、想像を上回る地震が、津波が来た。もし明日首都圏に大地震があってもそれは「想定外」とは言えない。

日本列島全体が活動期に入ったと唱える学者もいる。地震に加えて、富士山の噴火を指摘する声もある。ここにきて、また頻繁に地震が起こっている。

私は、昨年4月発行の184号の巻頭言で危険の分散の必要性、とりわけ過度に集中している首都圏から人や物をできるだけ早く移動させることが必要だと書いた。しかしこの1年、それが進んでいるとは思えない。

私が「大統領制型東西2大道州制」(制度名変更)を提案しているのは、首都圏への一極集中を是正し、日本全体の危険を分散するには、現在国政を担当している機関の多くを物理的に東京から移すことが一番速いと考えるからだ。

新たに東日本州・西日本州をつくり、例えば、大阪と仙台をその州都とし、国会は東京に残すとしても、霞ヶ関の機能の多くはそちらに移してしまう。そうすればいま東京に集中している機能を3つに分けることができる。

さらにそれぞれのバックアップ機能を、例えば東京の機能は京都に、大阪は福岡に、仙台は札幌に持たせるようにすれば、危険の分散はさらに進むだろう。

 もちろん、他により早い方法があるのであればそれでも構わない。

 東日本大震災で首都圏が地震に弱いことが改めて明らかになった。残された時間は多くはない。

まさしく、時間との競争である。