野田内閣の今後は?

生活者主権の会代表 小俣 一郎


 野田政権が誕生して約2ヶ月、菅政権末期のあの喧騒が嘘みたいに静かである。

 野田首相は菅首相を反面教師に、またこれまでの民主党政権の失敗を手本に、いまは、とにかく安全運転を心掛けているようである。会期で野党を怒らせたときも、また鉢呂大臣の発言問題の際も迅速に対応し、事態を大きくはしていない。

性格的にも菅首相とは対照的なようで、声を荒げることはないし、いろいろなところに気を配っているようだ。派閥均衡人事は自民党的だと非難されたが、それも含めて日本的な首相と言えるのかもしれない。

 現在のねじれ国会を踏まえ、野党にも十分気を使っているようだ。特にねじれ国会で大きなカギを握る第3党の公明党には慎重に対応しているようで、そのせいか最近の公明党は穏やかである。

 野田さんは公明党とかつて政権を共にした細川元首相の愛弟子であり、同じ新進党に所属していたこともある。公明党とのつながりはこれまでの民主党政権にはない強みになるかもしれない。

 これから本格的な国会論争が始まるわけだが、TPPや増税の問題では与党内での意見の違いが表面化している。沖縄・年金等々、選択の難しい問題も目白押しである。

そこで野田首相に改めて肝に銘じて欲しいのは、議論を深めるためにも「情報の公開を徹底する」ということである。

民主党政権には自民党長期政権の弊害解消が期待されていたはずである。政権を取ったのである、自民党長期政権で埋もれていた情報をもっと表に出して欲しい。

そしてそれらを含め、情報を広く共有した上で、議論を尽くし、結論を出す。当たり前のことだが、それを愚直に行うことが必要であろう。

 野田さんの国会議員としての出発点は「日本新党」である。そして「松下政経塾の第1期生」でもある。政治を変えようという思いには並々ならぬものがあると思う。

 野田内閣は「財務省傀儡政権」とも揶揄されているが、野田首相のその「初心」に期待したい。