さあ『平成維新』だ!

生活者主権の会代表 小俣 一郎


4年前のマニフェストの評価

8月2日に民間シンクタンク等の9団体による前回総選挙以降の「自公政権の政策実績評価」が行われた。その平均点は「46点」で、9団体すべての評価が60点以下であった。まさしく落第点である。

 4年前、自民党は圧勝し、自公で衆院の3分の2という絶対的な力をもったのである。やる気になればできる力を国民から与えられたのである。それがなぜ46点しか取れなかったのか。自公政権はまずその反省から始めなければならないのではないか。当初は参議院でも自公で過半数を持っていたわけである。

評価では4年間で首相が3回も交代し、しかも自民党が4年前のマニフェストで掲げた公約を説明もなく修正したことに批判が集中したという。

その変節は、絶大な支持を得た小泉さんが1年後に政権を投げ出したことに端を発している。たとえ選挙前から公言していたとはいえ、あれだけの支持を得たのである。小泉さんは国民の期待に応え、4年間首相を務め上げ、国民と約束した改革を自らの手で実現すべきではなかったのか。

少なくとも、 後継の安倍さんが郵政造反組を復党させようとしたときには、身を挺してでもそれを阻むべきであった。小泉さんの絶叫で大勝した自民党の整合性はあそこでなくなってしまった。

 また今回のマニフェスト評価では「自民党のマニフェストの表記にはあいまいな表現が多く、厳密な意味で評価にたえられるものではない」という指摘もあったという。

 

顔のないマニフェスト

 さて、次の総選挙用の自民党のマニフェストが7月31日に発表された。しかし、表紙に麻生党首の顔はなかった。これはどういうことであろうか。麻生さんは党内にあった退陣要求をはねのけて、解散を自らの手で行ったのである。自分が自民党のリーダーであるという自信があるならば、堂々と顔を前面に出し、「麻生太郎に次の4年間を任せて欲しい」と訴えるべきではないのか。

近年の総選挙では「首相を選ぶ」という要素も強くなってきた。もし自公政権が継続すれば当然麻生さんが首相を続けることになる?のである。 

もし自民党がわざと不人気の麻生さんの顔を隠したのであれば、それこそ姑息な手段といわれてもしかたがないし、選挙直後にそのすげ替えを考えているのであれば、国民を愚弄しているとさえいえる。

100歩譲って、党の約束ということで割り切るにしても、なぜ今回のマニフェストにも具体的な数字が少ないのか。マニフェストは「検証できる公約」でなければならない。民間団体の評価でもその点の指摘があった。しかし、4年たってもそれが改善されていない。

 「自分たちは与党だから」という言い訳を聞くが、この4年間で自民党の政策はどれほどぶれたのか。小泉さんが約束したことと、麻生さんがいまやっていることがどれほど違うか考えて欲しい。

 自民党はウイングの広い政党である。それは別に悪いことではない。しかしだからこそ、しっかりと4年間に実現する政策を数字的に担保すべきなのである。5年、10年先の展望を示すことは重要である。しかし、それを見据えた上で、この4年間で具体的に何を行うのか。それが明記されなければ、所属議員を拘束し、推進力にすることはできない。

さすがに、別の、独自のマニフェストが出されるといった最悪の事態にはならないようではあるが、顔の見えない、抽象的なマニフェストでは、万が一政権を維持できても、党内抗争に明け暮れる事態が待っているのではないか。

 

マニフェストは叩かれた方が強くなる

民主党のマニフェストもいろいろな形で叩かれている。

民主党のマニフェストはより進化し、数値目標や期限、財源、手順等がより具体的に書かれているので、それに対する反論もしやすい、ということでもあろう。ただ、政権を取った後にもそのような追及は当然されるわけで、いまからしっかりと反論を行っていけばよい。

また、もしその指摘に理があり、全体の整合性を崩すことなく修正できるのであれば、公示後の最終マニフェストにそれを取り入れればよいわけで、選挙後に約束を反故にするのは問題であるが、選挙前であれば、より良いものにすることをためらう必要はない。

それに、そのように叩かれ、そして反論し、その上で国民の信を得られたのであれば、そのマニフェストは「国民との契約」として絶大な力を持つことになる。内容を十分に承知の上で国民がそれを選択したことになるからだ。それは政権交代後の政権運営の最大の武器になる。

 

情報公開は間違いなく進む

マニフェストは民主党の強力な武器になるはずだが、世の中何が起こるかはわからない。思う通りに進まないこともあるかもしれない。

 しかし、政権が交代すれば、しがらみがないので間違いなく情報公開は進む。そしてそれが政権交代の一番の効用かもしれない。

 民主党は財源論で叩かれているが、野党ゆえに情報も少なく、無理からぬところもある。

 では、自民党が情報をしっかりと把握しているかというと、かつての埋蔵金に対する見解の対立をみても、しっかりと情報を把握しているとは思えない。結局、情報は官僚の手の内にあって、都合のよい情報だけが流されているのではないか。

 政権交代をしてもその官僚が壁になる可能性はある。しかし、エイズ問題を思い出せば、問題意識を持った議員が政権に入れば情報は出てくる。

 エイズ資料は、もし菅さんが厚生大臣にならなければ出てこなかったであろうし、 また菅さんが野党のままだったとしたら、やはり出てこなかったであろう。

隠された情報は、しがらみのない、しかも問題意識を強く持った力のある議員が与党になることによって初めて出てくるのではないか。

 


民主党には『ながつま』がいる

 2年前、「消えた年金」問題が明らかになって政治の模様が一変した。

 小泉さんの後継を意識していた安倍さんは、それなりに小泉改革を進めようとした。しかし、あの「不安を煽るな」発言で、一気に信頼を失った。

公務員改革も進めようとはしていたが、この件で、官僚の言葉を鵜呑みにして対処していたことが明らかになり、その権威は失墜した。

直後の7月の参院選では自民党が惨敗し、野党が参議院で多数を取ったことにより、情勢は激変し、隠されていた情報もそれなりには出てくるようになった。そしていま政権交代目前にまできている。4年前とは雲泥の差である

考えてみれば、もし、ながつま昭という政治家が存在しなければ、消えた年金問題が明らかになることはなかった。つまり、政権交代が総選挙の争点になるようなこともなかっただろう。

そのながつまさんが財源問題を問われて、「全省庁の金庫をひっくり返す」と発言している。政権が交代すれば間違いなくそうするだろう。そうなれば、あらぬところから隠された財源が出てくる可能性が高い。野党のときでさえ「消えた年金」を明らかにしたのである。与党になれば、さらにその剛腕に磨きがかかることだろう。

菅さんは官僚にエイズの資料を出させたが、当時は「自さ社政権」で、自民党政治の闇にせまることまではできなかった。

自民党が下野すれば、まさしく、伏魔殿の扉が開かれることになる。そうなれば、自民党の負の遺産を一掃することができ、日本の政治は新しい段階を迎えることになる。

 

さあ『平成維新』だ!

「平成維新の会」が旗揚げした翌年、細川内閣が誕生した。長く政権の座にあった自民党が下野し、あたかも世の中が変わったかのような雰囲気になった。が、疑似平成維新が実現したことにより、かえって平成維新の会の力は衰えていった。

あれから16年。いままた政権交代が目の前にある。そして、我々の仲間がその先頭に立って、世の中を変えようとしている。

残り半月、われわれも力を出し切って、政権交代の実現に貢献しよう。

政権交代が実現したときに、真の『平成維新』の幕が上がる。


 

 

  〓〓〓 会報9月号は、9月14日に発行します 〓〓〓

会報8月号でもお知らせしましたが、総選挙の投票日が8月30日になった関係で、会報9月号は、

9月14日に発行します。ご了解下さい。