「格差是正」は公務員の給与改革から!

東京都文京区 松井 孝司


全国の自治体は団塊世代職員の退職金が足りず、2007年度は退職手当債が5900億円に膨らむ見通しであるという。

昭和47年から49年に生まれた団塊世代の地方公務員は30万人もいる。今後数年間は巨額退職債の発行が続くことになるだろう。地方公務員だけではない。700兆円の借金を抱える政府が雇用する国家公務員の退職金も借金で支払われ、巨額債務を累積させてきた。この巨額債務の解消はすべて未来の税金で穴埋めされ、民間人の負担になる。

公務員には巨額の退職金が支給される上に、手厚い共済年金も用意されている。

一方、民間では税金を徴収されても退職金が出せない中小企業は多く、国民年金の納付金さえ納めることのできないニート、フリーターの救済策は無いに等しい。

日本経済新聞が団塊の世代751人を対象に行った調査によると全体の半数が退職金は500万円以下、

25.6%が退職金ゼロと回答しているそうだ。(日経ビジネス2006.10.30号)

この「官民格差」こそ日本独特の官尊民卑の制度に起源を持つ格差の典型である。民主党の掲げる錦の御旗が「格差是正」なら、真っ先に政府がつくる官民格差の是正に着手し、マニフェストに格差是正の具体策を示すべきである。

日本国憲法には「公務員は全体の奉仕者」と明記されている。ボランティア精神を持たず私利私欲で行動する人間を公務員にしてはならない。安月給に不満を述べる公務員がいたら民間への転職を勧めるのがよいだろう。年給300万円の安月給でも不満を持たない公職希望者はいくらでもいる。

忘れてはならないのは、議員も立派な公務員であるということだ。公務員の給与改革は議員が率先して手本を示す必要があるが、問題は地方議会が総与党化し、議会のチェック機能を失っていることである。地方議員も公務員と組んで利権を確保しようとしている。欧米のように地方議員がボランティアではなく、生活のための職業になっているため議員は失業を恐れ、選挙対策のために高額の給料を手放せないのである。

「国破れて議員あり」と唱えて党内で窓際に置かれている民主党の河村たかし議員は日本国内での本当の対立軸は「自民対民主」ではなく、「職業議員対国民」であると指摘している。

河村議員の計算によれば、議員をボランティアにして公務員給与を世界標準の給料にすれば毎年17兆5000億円のお金が出てくるという。公務員に支給される給与の問題点は給与の大半が付加価値を生まない業務に対する対価であることだ。

税金として徴収されるこの巨額の資金を民間に還流させたら間違いなく日本経済は活性化し、不況などいっぺんに吹き飛ばすことができるだろう。