生活者主権の会生活者通信2001年03月号/12頁..........作成:2001年03月05日/杉原健児

アメリカの美術館

文京区 岡戸知裕 (tom-okado@hat.hi-ho.ne.jp)

  私は、長らく米国の美術館の代理をしてまいりま
したが、その中でよく思うことが一つあります。  
  それは、米国では、スミソニアンを除いて殆どす
べての美術館が、公立ではなくて私立であるという
ことです。よって館長の責務としては、来館者の増
大と寄付をつのることが、重大な任務になります。
  つまり、如何に魅力的な美術館たるか、そして寄
付者にとって寄付するに値するような美術館たるか
ということを常に心がけていなければなりません。
これは、その美術館の死命を制することでこれは企
業経営と同じでです。                          
  さて、日本の公立の美術館はどうかというと、毎
年予算書を提出し、予算を獲得し、入場料は全額国
庫または、地方公共団体に入ります。バブルの時代
には、この方式でかなりの美術館が建設され、現在
おそらく殆どの美術館では、採算がとれない状況に
あり、税金による補填で成り立っていると思われま
す。卑近な例として、都内の江戸東京博物館も赤字
で有名な博物館になっています。                
  また、ある著名な米国の美術館の学芸部長の話と
して、職員の数が米国に比べ日本の方が圧倒的に多
いとのことです。私の理解としては、これはあくま
でも役所の形態をとればどうしてもそうなるのでは
ないかと思います。つまり収入に基づいて支出が決
定されのではなく原価積み上げ方式ですべて決まっ
てゆきます。                                  
  これは、将来を占う一つの実例に過ぎないと思い
ます。つまりすべて税金で庶民から徴収して優秀と
いわれている官僚により美術館を経営するのか、ま
たはその分減税して所得控除した形で寄付した多く
の人たち、理事や館長の意思により運営されるべき
なのか、いますべての面でこのような選択を迫られ
ていると思います。                            
  私は、極端なことを言えば、民間で出来ないのが、
警察と消防と国防ぐらいで、それ以外はすべて民間
でできると思います。現状の日本の状態は、旧ソビ
エト方式の官僚支配体制が敷かれており、旧ソビエ
トもそうであったように莫大な借金の山となりまし
た。                                          
  今経済の活性化は公共投資ではなく、減税です。
結論的に言えば、如何に官僚統制から逃れるかが日
本の運命の分かれ道であると思います。今日本経済
の足を引っ張っているのは、こうした官僚支配にあ
る企業(銀行)と公共団体ばかりです。          
  今の公共投資は再生産が効かない戦争経済と同じ
です。長野県知事がその解答を出しつづけています。
  つまり、ミサイル一発は作るメーカーが潤うだけ
で、お金が回りません。土木工事も同じです。作る
だけで利用する人が少ないのでは、経済効果があり
ません。そのような戦争経済を続けていけるのは、
国債を際限無く発行できる内だけという条件があり
ます。                                        
  さらに結論づければ、国債という「大きな時限爆
弾」を我々が抱えているということです。こういう
状態を庶民が本能的に理解していても、日本の為政
者は問題先送りで解決する意欲が見えません。つま
り省益あって国益なしの状態又は党益あって国益な
しです。これは太平洋戦争の時も同じで、原爆が落
ちても勝利を信じていたのは、陸軍省という官僚機
構であったことを思い出します。                

民主党全国会議員各位「新世紀アンケートを読んで」

神奈川県 平岡昭三

【一】2001.1.15.党報の民主党全国会議員 182人ア
  ンケート(新世紀に実現したい、無くしたいこと)
  の特集を読んで痛感したことを茲にご参考に供し
  ます。先ず、その項目とその票数を私なりに(政
  治・経済)(民生)(国際)の三つに分けて、次
  の通り整理してみました。合計48項目 642票。  
(政治・経済)政権奪取33、分権30、道州・連邦制
   8、中央集権・癒着の絶滅と政治・行革50、経済
  活性化、景気回復、自由・活力経済、規制緩和、
  IT革命、雇用促進、中小企業活性化、地域格差解
  消、安全食料、農業振興30、改憲5 、首相公選・
  大統領制11、民主主義完成 5、党体制強化 1、  
  計 189票(20項目)30%。                    
(民生)共生社会、安全・豊かな社会、グローバル
  社会47、人間・個性尊重、人権尊重、差別廃止、
  男女格差解消、家族復権、死刑廃止38、環境保全、
  クリーン・エネルギー78、教育改革、暴力絶滅、
  福祉充実、社会保険充実、医療充実、文化・科学
  充実106 、計269 票(18項目)42%。          
(国際)平和・戦争絶滅74、国連強化・世界連邦23、
  貧困・迫害解消45、善隣友好・国際貢献25、核廃
  絶15、基地縮小 1、計 184票(10項目)28%。  
                                              
【二】このアンケートは、百年間、百年先の夢や近
  い将来のことなど、いろいろあって良いし、項目
  も多岐に亙っても良いわけですが、全員の思いが、
  相当バラついており、私としては、こんなことで、
  一つの党として纏まって、強力な一つの政策を打
  出して行けるのかなとちょっと心配になる処であ
  ります。もっとも、あるべき方向だけは、一応纏
  まっている様に思いました。                  
                                              
【三】一方、2001.1.20.の新世紀第一回党大会にお
  いて、鳩山代表は、来る参院選に向け、政権奪取
  を力強く宣言致しました。                    
    そして、来賓の鷲尾連合会長は、次のように挨
  拶しました。                                
  1.民主党を全面的に指示するが、残念ながら、
    現在どの世論調査も支持率は、僅か10%前後で
    ある。党は、この現実を自らの責任として、し
    っかり見つめるべきである。                
  2.有権者(普通に暮らす人たち)が納得するわ
    かり易い政策を一日も早く確立すべきである。
                                              
    私も全く同感であります。勿論、その政策は、
  他党と異なる、成る程、野党第一党の政策だと思
  われるものでなければなりません。しかもそれは、
  只単に「(福祉)を充実させる」とか「(教育)
  を改革する」とか「(戦争)を絶滅する」など実
  現すべき目標やその内容を羅列するだけではダメ
  であります。何故なら、他の党も類似のことを掲
  げていますから「民主党も同じことか」となるの
  であります。では、どうすればよいか。        
  (1) 「わが党は、他党と異なり、こういう方法で
    ○○を実現するのだ。だからこそ、容易に目的
    が達成されるのだ」                        
  (2) 「他党では、○○があるから出来ないのだ」
  (3) 「こうすることによって○○の弊害もなくす
    ことが出来るのだ」                        
  (4) こうするのが当然であり、何も難しいことで
    はない。大変簡単なことだ。こうすれば、貴方
    の力がより強くなるのだ」                  
  (5) 貴方が納得し、その気になって頂ければ、明
    日から本当に実現するのだ」                
  (6) 「こうすればこそ、貴方の生活が豊かになる
    ことが、おわかり頂けるだろう」            
  以上のようなことが言えてこそ、有権者が納得す
  るわかり易い政策なのであります。            
                                              
【四】それでは、あるべき基本政策とは、何であり
  ましょうか。上記アンケートを要約すれば、次の
  ことが言えると思います。                    
  (1) 自民党の長年の悪政により、世の中に諸悪が
    充満し、どうにもならなくなっており、何が何
    でも自民を引きずり下ろし、政権を奪取して、
    政治、行政、経済、民生、の改革・充実を図ら
    ねばならない。国際問題も山積だ。          
  (2) それらの改革の実現には、中央集権、癒着、
    大きな政府を廃し、代りに地方分権を徹底させ、
    ひいては、道州制・連邦制を実現することが不
    可欠だ。                                  
                                              
【五】私も之に同感です。問題は、上記【三】(1) 
  〜(6) の方法論を有権者にどれだけ具体的にわか
  り易く説明できるかであります。分権化・道州化
  の段階的説明、県・市町村の位置づけ、有権者の
  メリット/デメリットなどを簡明に説明できるよ
  うにすることです。                          
    之らを政策理念検討や道州制のプロジェクトチ
  ームやNC分権相(ネキスト・キャビネット地方
  分権担当大臣)等で早急に結論を出し、全員の合
  意を得、党の基本政策に確定し、全員で金太郎飴
  の如く、同じ事を同じボルテージで有権者に訴え
  ることであります。一番大事な事は、政治家の説
  明責任であります。増税や道州制など厳しいこと
  や説明し難いことでも、避けずに、正面から堂々
  とわかり易く、ていねいに有権者に説明し、納得
  を得ることであります。之こそ、政治家の唯一最
  大の責務であります。最早、ばらまけば喜ぶ時代
  は終わりました。勇気をもって、ひるまずに、事
  に当たって下さい。                          
    以上、ご参考まで。ご健闘を祈ります。匆々。

生活者主権の会生活者通信2001年03月号/12頁