生活者主権の会生活者通信2001年02月号/09頁..........作成:2001年02月03日/杉原健児


第一回紙上シンポジウム
国民、国家にとって今一番大切なことは何か?

大田区 大谷和夫

  最近はIT革命も進行し、民間特に製造業では国
際競争に勝てなければ存続できず、これに対処する
ため経営の高度化が進んでいる。これに対して政府
及び地方の公共団体の経営は旧態依然としており、
財政赤字が累積し、既に660兆円(国民1人当た
り約555万円、四人家族で約2220万円) に達
している。しかもそれぞれの経営責任者はこの破滅
的な危機に対して責任を自覚しているように思われ
ず、国民にも未だ危機感が薄いと思われる。このま
までは国の信用、円の下落によるインフレ、世界経
済に対する悪影響も懸念される。                
  このような国家経営の無責任態勢により、目下あ
らゆる面に問題が噴出してその対応に右往左往して
いる感があるが、マスコミも含めて最も肝心な問題
の解決に努力を集中していないので、一難去って又
一難、モラルの低下と共に着実に国家衰亡の道を歩
んでいると思わざるを得ない。                  
  現在の国民の大多数は「創造的で生き生きとした
安心できる明るい社会の実現」を希望していると思
われる。ところが財政危機は益々進行し、来るべき
高齢化社会に対する不安は益々増大し、21世紀に
一体増税なしにやっていけるのか全く自信がもてな
い状況である。その原因は何か?  つらつら考える
に、一言にして言えばその根源は明治以来の中央集
権官僚政治の制度疲労であろう。                
  この危機を打開するには、長期ビジョンにより戦
略的に、官から民へ、中央から地方への流れを徹底
させることにつきるであろう。つまり国家に対する
ぶら下がりによる非効率を避けるため、原則民営化
を貫徹し、中央省庁は国家として最小限必要な機能
のみに思い切り縮小し、地方は道州制或いは州府制
に再編成し、税源体系も地域中心に転換し、先進諸
国と同様に地方自治を柱とする連邦制を実現するこ
とである。斉藤精一郎氏らの試算によれば、これを
10年かけて実現すれば、毎年30兆円の歳出削減
が可能となり、余剰金をためておけばやがて所得税
ゼロの実現も可能であるという。                
  本年から画期的な中央省庁の改編が行われたが、
これでは全くなまぬるく、更に続いて徹底的な民営
化、地方分権化が必要であり、第四の権力であるマ
スコミの説得力ある啓蒙活動が要請され、国民の一
部であるがこれを強硬に妨害している国会議員、首
相、中央省庁の役人及び地方公共団体の公務員、議
員および労組に対して、世論をバックに徹底的な糾
弾を期待してやまない。又当然のことながら、国民
のお上依存という甘えの構造からの脱却が前提条件
となる。                                      
  個人の自立を前提とし、中央集権官僚政治家から
脱却し、身近な地方自治への政治体制の変革に集中
することによって、日本再生のきっかけを掴めると
確信する次第である。                          
                                              
参考文献:                                    
『日本再編計画・・。無税国家への道』          
齋藤精一郎責任監修「無税国家」研究プロジェクト
      PHP研究所刊  96-11-3 発行  定価3500円。

第二回討論会「このままでよいのか現憲法」のお知らせ

日 時:カ平成13年2月21日(水)午後6より9時迄
会 場:カ喫茶室ルノアール渋谷パルコ横第一店【マイ・ スペース】
主 催:カ小枝 尚 代表 (TEL&FAX 03-3696-4110)

   「マッカサー憲法」との異名のある現日本国憲法は、昭和21年(1946年)公布以来半世紀有を経、
一度も改正の無い、世界に希有の憲法となりました。日進月歩の世情に取り残され、現実の社会に適合しな
い部分も表れてきています。禁句であった改正論も、漸く市民権を得てまいりました。この時期を逸せず、
「このままで良いのか現憲法」と討論会を企画致しますので、皆様のご参加をお待ち致します。          

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