生活者主権の会生活者通信2001年01月号/10頁..........作成:2001年01月02日/杉原健児

大山氏論文の提起した問題点

大田区 大谷和夫

  本誌12月号記載の大山氏投稿「気概の国日本を再
構築しよう」は既にニフティの平成フォーラムで議
論がほぼ出尽くした段階であるが、全面的な賛同者
が全くいない状況である。ここではその問題点につ
いてのみ簡潔に指摘する。

1.歴史観の誤謬
  歴史とは所詮物語である。従って、作者によって
又見方や時代によっていろいろ変わるのが歴史であ
る。どこの国でも、現在の価値観からすれば、具合
の良いこと、悪いことが折り重なっているものであ
る。自分の国だけが悪い事をしたと思い込むのを自
虐史観というが、中身の充分な吟味なしに、外国の
悪い所だけつまみ食いして、外国はすべて悪い、日
本だけが良い国である、というのは他虐史観とでも
いうのであろうか。自虐史観にせよ、その裏返しの
他虐史観にせよ、独断に基づく偏見であり、公正な
歴史観とはいえない。

2.憲法観の誤謬
  現在の憲法は、国民主権、平和主義、基本的人権
の尊重という点ではかつての帝国憲法より一歩前進

していると評価している。ところが大山氏は憲法制
定権力が天皇にあるので現在の憲法は認められず、
直ちに廃棄すべしと主張している。しかしその根拠
は、天皇が悪いことをするかも知れないという憶測
に基づくもののようで、よく言って極度の天皇崇拝
症、悪く言えば天皇恐怖症に陥っているのではない
かと思われる。つまり憲法の条文を無視した独断と
偏見に過ぎない。我々国民は、主権者としての責任
を全うし、我が国をよりよい国にするために、如何
なる方向に、如何にして国を変えてゆくか、その為
に憲法は如何に見直してゆくべきかが問われている。
従って憲法改正の中身が重要であり、中身のない、
根拠のない形式主義の議論は無益である。

3.言論の自由と責任
  言論の自由とは何を言ってもよいという事ではな
い。自由に対比するものは責任である。徒に他者を
誹謗するような言辞を言論の自由として許せば、社
会にとって、又平成維新の実現を理念とする本会に
とっても、何ら裨益する所がないであろう。

「気概の国日本を・・・」by大山悦男の掲載について

三鷹市 石原裕鵬

  会報12月号を拝読しました。                  
  「気概の国日本を再構築しよう」by大山悦男の掲
載を決めるにおいて、紛糾したことを理解いたしま
した。                                        
 (1)全文を掲載したことは良い選択です。        
 (2)編集委員による掲載反対意見を載せたのも良い
    選択です。                                
  この会は、平成維新憲章などに同意・共感する者
の集まりであり、平成維新を実現するために、自由
な意見交換をする場でもある。                  
  選挙などの投票行為などで力を集約させるために
決を取る必要がある場合は、多数決によることを基
本としており、採決された議案が会を代表した意見
となります。集約させる必要がない場合は、会員に
よる自由な意見の披露を何人も疎外してはいけない。
  同時に会員は自分の意見に責任をもつために無記
名は許されないのである。                      
●「気概の国日本を再構築しよう」by大山悦男への
                  私的感想                    
▼文頭について                                
  「先進国の中で平和に対する罪や人道に対する罪
を犯したことのない文明国と言えるのは日本だけで
あります」この文頭の内容は間違っています。    
 (1)罪を犯さなかった国家はない。              
 (2)日本も罪を犯した国家の一つである。        
  日本だけが罪を犯した国家というわけではないと
いうことです。よって、私なら、文頭をカットしま
す。文頭のようないきなり、反論・反感を買うよう
な書き出しは避けます。                        
  書くとしたら・・・先進国の中で平和に対する罪
や人道に対する罪を犯さなかった文明国はなかった。
文明国とは未開の国々に対して慈愛を本とし、開明
に導くものである。                            
  あなたなら、どうしますか?>ALL             
▼本文について                                
  部分的に「ちょっと違うんじゃない」と感じる箇
所はありますが、全体を通して、特別に異論を唱え
ようとは思いません。また、その知識もありません。
機会があって、参考文献を読む機会があれば、私に
も異論が出てくるかもしれません。大山氏が多くの
資料を読み彼なりにまとめた努力に敬意を表したい
と思います。                                  
  あなたなら、どう思いますか?>ALL           
▼最後のまとめについて                        
  「排他的独善主義の一神教に世界を征服させては
ならないのです。21世紀は日本の心の文明が世界を
導くことこそ最善だと思います」                
 (1)現在においてほとんどの国は政教分離されてい
    る。                                      
 (2)日本の心の文明という表現は曖昧である。    
  わたしなら以下のようなまとめにしたいと思いま
す。                                          
  奈良・平安そして鎌倉から江戸までの豊かな伝統
文化を持ち、明治以降の近代文明においても世界に
劣ることなく優れた日本は、21世紀においては、東
洋世界と西洋世界を融合させ、宇宙船地球号とも呼
ばれている運命共同体である世界で、重責を担うと
いう自覚が日本人一人ひとりに必要ではないかと思
います。                                      
  あなたなら、どうしますか?>ALL             

生活者主権の会生活者通信2001年01月号/10頁