生活者主権の会生活者通信1999年10月号/06頁..........作成:1999年10月26日/杉原健児

公職選挙法の改正について

大田区 大谷和夫 (QZI04657@nifty.ne.jp)

 本文は「生活者主権の会」各種活動状況に報告されている、東京2区8月例会の議事録に記載されて いる配布資料3であり、公職選挙法に関する文献紹介と公開討論会シンポジゥム紹介である。 他の配布資料と共に説明した上での公職選挙法改正に関する討議結果は、上記東京2区8月例会議事録 に示した通りである。
 公職選挙法の改正に向けて、お互いに議論を深め、関係団体とも連携して、具体的活動へ 高めることが望ましい。

[A]四訂版公職選挙法の解説
       吉田善明著 一橋出版 98-7-1

 250条以上の法律であるが、選挙運動の自由を大幅に規制したべからず集である。第6条では、 選挙管理委員会は常にあらゆる機会を通じて選挙人の政治常識の向上につとめることになっているが、 投票方法や選挙違反の周知にとどまっている。
 事前運動、公開討論会、戸別訪問などすべて禁止されており、有権者は買収されやすい愚かなもの であるという前提でつくられており、有権者が候補者の政策を知る権利は無視されている。 自由化すると経済力の差で不公正になるという理由で選挙運動は大幅に制限されており、幕間演説、 個々面接、電話による選挙運動のみ許され、立会演説会は昭和58年廃止されている。
 尚、選挙制度の各国比較と問題点及び1票の格差を生じない選挙制度改革の提案については、 次の参考文献がある。
  「選挙制度・民主主義再生のために」
       小林良彰著・丸善ライブラリー135

[B]公開討論会シンポジウム

  地球市民会議リンカーン・フォーラム 主催、99-7-30
                 於東商ホール
(1)講演「公開討論会が政治を変える」
   小田全宏(地球市民会議リンカーン・フォーラム 代表)
 公職選挙法 164条で公開討論会ができない。 158条立会演説会は廃止された。自治省と話合い、 腹をくくってやればよいということで、4年で 140回行い、投票率も10%上がった。 白川村では、投票率96.8%、投票結果は 706:704であった。主催者の条件は「選挙区の住民」 「政治的中立」「1ヶ月間の時間的余裕」「信頼されている人」であればよい。
(2)「公職選挙法改正法案提言」
         加藤秀樹(構想日本代表)
 構想日本は公共政策のシンクタンク。政治家は選挙重視で政策が後回しになっているが、握手から 政策への運動として、公開討論会、TV放送、インターネットHPを可能とする提案を作成した。 (政策を競う選挙にするための公職選挙法改正の提言が別途配布された・・・ 東京2区8月例会配布資料6)
(3)応援演説 三枝成彰(選挙に行こう勢!世話人)
  投票率を上げることを狙っている。純ボランティア。
(4)パネルディスカッション
  「政治と討論−−政治は国民に響く言葉を取り戻せるか」
 司会・筑紫哲也、
 出席:深谷隆司(自民党総務会長)・菅直人(民主党代表) ・志位和夫(共産党書記局長)
 筑紫哲也氏司会のもとに、政治を国民に近づけるために公開討論会その他について各氏の意見を求めた。 各氏の意見をまとめると次のようになる。
  <深谷> 父の指示で政治家を志望し早大雄弁会に入った。(小渕総理、森幹事長と同時期)立会演説会は 経験したが、形骸化して廃止されたが、できればやりたい。今でも合同演説会なら可能。 ただ政府与党は夢のような話はできず、議論の巧拙だけで評価されるのは問題。選挙期間中は時間の 調整が困難。日常の努力の評価が必要であり、選挙運動の自由は望ましいが、 財力が有利になっては困る。
 小さな座談会を沢山行う。戸別訪問には有権者側から反対があった。地球市民会議の討論会には 出席するよう奨励する。
  <菅> 東工大学生運動で演説の訓練をした。日本ではもっと討論すべきである。立会演説会も 4回経験したが、一方通行なので復活には討論が必要。小選挙区になったので、討論形式で信頼できる人 が司会すればよい。制度だけ可能にすればよい。出ないと不利になるので、日程は調整の必要がある。 TV討論もこわい所があるが、生の討論は有効である。又原則として戸別訪問できる事も必要。 尚小選挙区制では総理を選ぶことが大事である。建前があるのが民主主義であり、討論は必要で、 国民主権を生かすチャンスである。自民党は官僚主権である。
  <志位> 立会演説会の経験無く、総選挙では誰とも討論した事がない。対話集会を始めたが、 事実に基づく論理的なフェアな討論が必要である。立会演説会を聞いた事はあるが、 公開討論会として復活すべきである。制度として保障し、有権者が自由に聞けるよう公選法を見直す 必要がある。政治活動の自由、有権者の知る権利から、選挙では候補者と有権者の討論が最も必要。 戸別訪問の禁止は日本のみ。文書の自由化も必要。開かれた討論会は今後の公約と共に、 任期中何をやってきたかの討論も必要で、主催は公私いずれでもよい。

生活者主権の会生活者通信1999年10月号/06頁