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<Vol.17>

━━━生活者通信メルマガ版━━━━平成17年8月14日 Vol.17━

郵政は「道州」に分割せよ!
                  生活者主権の会 松井孝司

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 「郵政の民営化」は小泉内閣の最大の目玉であったが、族議員の
多い参議院で法案は大差で否決され、衆議院の解散、総選挙で小泉
総理は国民に信を問うことになった。

 郵政の民営化は約40万人の「公務員」を「民間人」に変え、約
340兆円にのぼる郵便貯金(郵貯)と簡易保険(簡保)の資金を
民間の知恵で効率的に運用できるので「小さな政府」を実現するこ
とになると小泉総理は説くが、橋本内閣の行政改革同様、看板の架
け替えに過ぎず肥大化した郵政事業の実態は変わらないどころか、
焼け太りする可能性さえある。郵政民営化の問題は、その事業規模
と扱う資金の量である。

 日本の公務員の人数は諸外国の公務員数と人口比で比較すればむ
しろ少ないと聞く(公務員の定義が問題ではあるが)。

 日本政府の最大の問題点はデフレ経済下で歳入と歳出の格差があ
まりにも大きくなってしまったことだ。郵貯や簡保を通じて国民の
貴重な金融資産が政府の借金に化け、中央政府に集められて無駄使
いされていることが問題だ。中央政府が飲みこむ「お金」があまり
にも巨額で民間に流れず、非効率な官製事業に投入され不良債権化
していることが問題なのだ。「大きな政府」として問題視すべきは
公務員の「人数」に加えて、中央省庁の配下にある「縦割り行政予
算」と、「31の特別会計」の総額である。

 特別会計の予算規模はあわせて387兆円、重複部分などを除い
ても207兆円にのぼり、一般会計の5倍近い規模に膨らんでいる。
特別会計収入のうち47兆円は、一般会計からの繰り入れでまかな
われ、一般会計歳出の6割近くを使っている。

 特別会計の赤字が税金で補填されるのだ。特別会計の支出先は道
路公団などの官製法人である。道路公団の職員給与は公務員の給与
より多いと聞く。天下り官製法人こそ「大きな政府」の実態なのだ。
郵政や官製法人を民営化しても「大きな政府」を解体したことには
ならない。中央省庁が健在で、国債の受け皿となる「民から官へ」
の巨額資金の流れが温存されては資金の無駄使いは終わらないし、
逆に民間へこの巨額資金が流れたら資金規模が突出し、他の民間金
融機関を圧迫することになる。

 巨大化した郵貯、簡保は解消することこそ望ましいが、あまりに
も巨大となった組織を一度に解体すると、国債の償還が宙に浮き、
かえって混乱を招くだろう。

 残る方策としては、地方の自立と地域経済の活性化策として最近
やっと話題に上るようになった道州(都道府県の枠を超えた広域行
政区=地域国家)における地域金融機関として、巨大化した郵貯、
簡保を8〜13の組織に分割することが望ましい。果敢にリスクを
取る投資銀行、投資組合には利潤追求を認めるべきだが、公共財で
ある通貨の番人が利潤追求に走ったら弊害が大きいことは巨大銀行
への公的資金投入で実証済だ。郵貯、簡保は分割して預金規模20
〜40兆円の利潤追求を目的としない「公有民営の州立銀行」とし
て再発足させ、地域経済の中心的担い手とするのである。過疎化と
高齢化に悩む地方経済の信用収縮は著しく、再発足した州立銀行に
は新たな信用創造のために期間限定の地域通貨の発行を許すことも
検討すべきだ。直接融資はせず地方銀行への信用供与を専門とする
組織(日銀代行)と過疎地にも窓口を置く決済専門の組織に分割す
ることも検討に値するだろう。

 まともな企業が少なく、デフレ経済下にある過疎地の地方経済は
日本の明治初期を思わせるものがある。明治初期の日本経済は先行
き不安と深刻なデフレに悩んでいたが、政府が発行する「太政官
札」で税収を補い財政危機を切り抜けたとのことである。政府貨幣
による積極融資は、めぼしい産業が無く増税が難しい地域で、新し
い産業を興すための有力な手段となる。借金漬けの日本政府が政府
貨幣を発行し、政府の借金をチャラにしてはモラルハザードを来し、
許されることではないが、無借金の州立銀行が地域経済の活性化の
ために一時的に地域通貨を発行して産業を興し、地域経済を発展さ
せることは許されるべきことと考える。

 言うまでも無いことではあるが、郵政だけ分割しても地方経済は
活性化しない。中央省庁の出先機関はすべて道州に分割統合し、補
助金漬け縦割り行政を改めなければならない。安月給にも耐えられ
る志の高い中央官僚には、借金漬けで先行き不安の霞ヶ関に早々に
見切りをつけ、率先して州政府へ天下ることを期待したい。州政府
は有能な官僚を積極的に受け入れ、地域経済の発展を担う人材とし
て活用すべきである。

 巨額の累積債務で財政破綻を目前にする日本政府に残された唯一
の道は中央省庁解体による「小さな政府」の実現であり、「道州
制」は中央集権制を廃して、究極の地方自治を実現するための有力
な手段となるのだ。




「著者・松井孝司氏関連のHP」
 「市民が創る日本再生のシナリオ」
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