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━━━生活者通信メルマガ版━━━━平成20年6月1日  Vol.68━

「歳入欠陥」という不思議な言葉

                      生活者主権の会  岡部 俊雄

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 「お父チャン! 今度のボーナスが半分になるなんてとんでもな
い。使う先がもう決まっているんだから何としても前回どおり貰っ
てきてよ! そうでないとうちは収入欠陥になるわよ!」

 何とも理不尽なお母チャンである。しかし、この考えが現在国家
レベルで大手を振ってまかり通っているのである。
 国民もマスコミもあまり不思議に思わない「歳入欠陥」という官
僚用語である。

 そもそも単年度主義をとっている行政の予算編成のあり方がおか
しいのだが、支出は自分の意思で決定できても、収入は自分の意の
ままになるはずがない。
 収入にあわせて支出をコントロールするのが健全な家計であり、
健全な経営である。勿論収入を増やす努力はしなければならないし、
収入の中にはその時に必要な借入金が含まれているのは当然である。

 ある支出を予定していたところに、それに見合う収入が無いと分
かった時、我々はどういう行動をとるだろうか。当然収入に合わせ
て支出を削減するという行動をとるに違いない。

 ところが、これが行政とか官僚とかの世界に入ると、まるで別世
界になってしまう。予定していた歳出は何が何でも実行することが
大前提で、それに見合う歳入が足らないと、「歳入欠陥」だと大騒
ぎをする。歳出を削減しようという発想はどこにもない。
 
 今回の暫定税率廃止に対する政府、与党、自治体の反応はこれと
全く同じである。道路に使うことが既に決まっているお金だから、
耳をそろえて出してくれ。そうでなければそれは「歳入欠陥」だと
いう一点張りで、歳入の範囲内でことを行おうという発想はどこに
もない。

 政府、与党、自治体のいずれをとっても、本当に、どうしても、
何が何でも道路が必要だとは思っていないと思う。本当に必要なの
はごく一部に過ぎない。彼ら、特に利権官僚や族議員がどうしても
必要だと思っているのは、天下りや票・政治資金でいつもお世話に
なっている土建業者の仕事、即ち食い扶持なのである。

 そもそも日本には土建業者が多過ぎる。彼らの食い扶持のために
如何に多くの税金が使われていることか。どこの商工会議所の名簿
を見ても土建業にからむ業者の如何に多いことか。

 土建業者のためではないかと思われるような都市計画が策定され
たり、公共施設を新設し、同じ目的の古い施設を取り壊し、そこに
別の目的の公共施設を新設し、また、同じ目的の古い施設を取り壊
し、・・・というハコモノ建設ドミノ現象を計画している自治体も
あるらしい。相変わらずの土建国家である。

 時代の大きな流れが見えないのか、土建業界縮小のことに触れる
のが恐ろしいのか、土建業界の他業種への転換が遅すぎる。政府は
むしろその転換誘導に力を注ぐべきで、延命のために貴重な税金を
投入すべきではない。

 今回の暫定税率廃止に対して政府、与党、自治体が鬼の首でもと
ったように「歳入欠陥」だと、あたかもあってはならないことが起
こっているかのように声高に騒ぐのなら、正直に「土建業者延命税
不足」だと、分かり易く言ってもらいたいものだ。

 歳入欠陥があると言いながら職員は何のためらいもなく所定のボ
ーナスや給料を貰っているし、相変わらず税金の無駄使いを続けて
いるという不思議な世界である。橋下大阪府知事の改革姿勢に対す
る職員や市町村長の抵抗が雄弁に物語っている。行政の収支は別世
界だという非常識な常識から決別し、その時の収入、歳入に応じて
支出、歳出を弾力的に、臨機応変にコントロールする仕組みと、そ
の精神を行政内に確立し、「歳入欠陥」などという言葉が一日も早
く死語になることを期待したい。

 やはり、政権交代を実現することと、道州制の国家を構築するこ
としか解決策はないのかもしれない。

「著者・岡部俊雄氏関連のHP」
http://www.tatunet.ddo.jp/okb/
http://www.seikatsusha.org/ne/okabe/


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ー「創刊号」 2005年01月01日発行/2005年05月01日現在読者数:1342名ー

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