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━━ 平成18年7月1日 Vol.41 ━━━━ 毎月1日・14日発行

今こそ「憲法第15条1項」を官僚に適用せよ

                          生活者主権の会 岡部 俊雄
 
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 昨今の官僚の不正、モラルの低下は目に余る。

 今回社会保険庁が組織ぐるみで自分達の組織を守るために行った
年金免除偽装工作はその極みに達している。

 年金制度を抜本的に改革しなければならないことは論を待たない
が、自分達の組織を守ろうとする官僚とそれに隷属する族議員とに
よって、ことは難航している。

 官僚は何をやっても、やらなくてもその正当性を主張し、どうい
う理不尽な結果になってもその非を認めない。犯罪に近い行為でも
同様である。この官僚という独特の組織の中で治外法権的に自己増
殖している奇妙な人間に我々国民はどう対処すればよいのだろうか。

 精神分析学者の岸田秀氏が著書「官僚病の起源」の中で次のよう
に述べている。(注1)

一、軍部も省庁も、本来、国に従属する機関であって、国のため国
民のために奉仕するのが任務であるが、そこから逸脱し、国から多
かれ少なかれ独立して一種の自閉的共同体となり、「省益あって国
益なし」と言われているように、しばしば国の利益よりもみずから
の共同体の利益ないし面子を優先する。

 国のためにではなく、陸軍共同体のために陸軍は戦い、海軍共同
体のために海軍は戦っていた。


一、国のため国民のためという目的に反しても、みずからの共同体
にとって不利な事実を隠蔽するというのも、かつての軍部官僚と今
の官僚に共通の体質である。


 まことに当を得た言葉である。

 新聞報道によると、今回の社会保険庁の不正工作に関与して処分
されるという官僚は、なんと厚労省本省に移るなどして公務員とし
ての身分は何も変わらないということだ。(注2)

 これほどまでに官僚というものが、岸田氏がいう「自閉的共同体
の病」に侵されているのであれば、現在進行している道州制の推進
も地方の自立・活性化という前向きな側面以上に、機能が集中しす
ぎ、病に侵されている中央官僚組織の解体という現状打破的な側面
をむしろ重視しなければならない。

 しかし、根本的な解決策はこの「自閉的共同体の病」の中に我々
国民が入り込み、官僚だけの世界を作らせないことである。

 そのための一つの方策は、殆どの国民が知らず、官僚がひたすら
隠し続けてきた「憲法第15条1項」の官僚への適用をいよいよ具
体的に発動することである。

 そこには次のように書かれている。

 「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利
である。」と。

 この憲法の条文が法律化され、実行されているのは、国会議員、
地方議員、地方首長と最高裁判所の裁判官に対してのみであり、そ
れ以外の膨大な数のいわゆる公務員に対しては適用される法律がな
い。国家公務員法、地方公務員法なるものはあるが、巧みにこの憲
法の思想をすり抜け、公務員の身分について国民が関与する余地は
全くない。多くの国民もそれが憲法で保障されている国民固有の権
利であるとも思っていない。

 官僚が作った法律なのだからまことにもって当然である。

 これをよいことに、官僚は国民から遊離し、官僚による官僚のた
めの官僚の「自閉的共同体の病」の中に閉じこもり続けている。

 この条文は自民党の「新憲法草案」の中にもそのまま入っている
し、民主党は未だ条文化されたものは発表していないが、同党の
「憲法の提言」からすると当然踏襲されるものだと思う。

 両党ともただ憲法の条文に入れておくだけでなく、この憲法の条
文を官僚に適用することの具体的方策に真剣に取り組んでもらいた
い。大変難しい作業になろうが、官僚を向こうに回すことになるの
で是非議員立法でやってもらいたい。


 長い日本の歴史によって、お上にまかれることがまだまだ国民の
体質になっているように思われるが、今こそ本気になって「憲法第
15条1項−公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固
有の権利である。」の官僚への適用をいよいよ具体的に発動しよう
ではないか。


(注1)官僚病の起源−自閉的共同体の病1
            (新書館 1992・2・5 初版)
(注2)日本経済新聞  (2006・5・30)

「著者・岡部俊雄氏関連のHP」
http://www.tatunet.ddo.jp/okb/
http://www.seikatsusha.org/ne/okabe/

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ー「創刊号」 2005年01月01日発行/2005年05月01日現在読者数:1342名ー

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